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声明・意見書2012年度

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死刑執行に関する会長声明

昨日、政府は2名の死刑確定者に対し死刑を執行した。

当会は、これまでも、会長声明を通して、死刑制度の存廃について国民的議論が尽くされるまで死刑の執行を停止するよう政府に要請し、本年8月3日になされた死刑執行にも、同日の会長声明で強く抗議したばかりである。その2ヶ月も経たないうちに、さらに死刑を執行したことは誠に遺憾であり、政府に対し重ねて強く抗議する。

死刑の廃止は国際社会における揺るぎない潮流であり、日本政府は、国連関係機関から、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるように、繰り返し勧告を受けてきている。しかるに、本年3月29日には、小川敏夫法務大臣(当時)が1年8か月ぶりとなる死刑を3名に対して執行し、滝実法務大臣は、本年8月3日に、大臣就任後2ヶ月で、2名に対する死刑を執行し、その後2ヶ月足らずで、さらに2名に対して死刑を執行したものであり、この間、連続的に死刑執行がなされていることになる。

日本弁護士連合会は、従前から死刑制度の問題点を指摘し、死刑執行の停止を求めてきており、2011年10月7日,第54回人権擁護大会において「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」を採択し、死刑の廃止について全社会的議論の開始と、その議論の間は死刑の執行を停止すること、議論のため死刑制度に関する情報を広く公開することなどを改めて求め、この宣言に基づいた活動を進めてきている。しかるに、死刑制度に関する国民的議論のための方策はとられておらず,死刑の執行だけが先行されている。

これまでの再審事件にみられるように、刑事裁判における誤判の可能性は否定できない。また、2009年5月に裁判員裁判が始まったことに伴い一般市民も死刑について判断を迫られる状況にあって、国民的関心も高まっている。当会は、死刑廃止についての全社会的議論を積極的に呼びかけていくことを宣言すると共に、政府に対し、死刑制度全般に関する情報を広く公開することを要請し、死刑執行を停止し、死刑の廃止について全社会的議論を直ちに開始することを強く求める。

2012年(平成24年)9月28日
札幌弁護士会 会長  長田 正寛

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