声明・意見書

安保関連法の成立から1年を迎えるにあたり、あらためてその適用・運用に反対し、廃止を求める声明

 昨年9月19日、衆議院に続き、参議院においても平和安全法制整備法及び国際平和支援法(以下併せて「安保関連法」といいます。)が採決され、成立しました。 当会は、安保関連法は、歴代内閣が憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使を閣議決定で許容し、その閣議決定に基づき立法化されたものであり、立憲主義に反すると批判してきました。また、多くの国民が反対・懸念の声を上げていた中、短期間での審議で採決が強行されたことについて、民主主義の根幹を否定する暴挙であると批判してきました。
当会は、今日本に求められるのは、武力行使による紛争の解決ではなく、諸国民との協調による紛争の解決であるとの考え方に基づき、安保関連法の国会審議中には廃案に向けて、成立後は廃止へ向けて、北海道弁護士会連合会及び北海道内の他弁護士会とともに、多くの市民とともに活動を続けてきました。本年3月29日にも、「安保関連法施行にあたりその適用・運用に反対し、廃止を求める声明」を発表し、安保関連法の施行後も、立憲主義と民主主義を回復するための活動に全力を尽くすことを宣言しました。
 政府は、本年11月から国連平和維持活動(PKO)の部隊として南スーダンへ派遣される陸上自衛隊の部隊に、安保関連法によって自衛隊の任務となった「駆け付け警護」と「宿営地の共同防護」を担当させる方針であると報道されています。「駆け付け警護」も「宿営地の共同防護」も、いずれも武器の使用権限の拡大となる任務であり、従来は憲法9条の禁じる「武力の行使」に該当する恐れがあるとされてきた任務です。これらの任務を新たに担うということは、自衛隊員が任務として海外で他国民を殺傷し、あるいは殺傷されるという現実的危険が飛躍的に高まることを意味します。これは、憲法が定める恒久平和主義と平和的生存権への侵害が現実化しかねない事態です。憲法違反の法律に基づき既成事実が積み重ねられていくことは、立憲主義や恒久平和主義に対するより深刻な危機であり、絶対に許されません。
 当会は、安保関連法の採決から1年後の今日、南スーダンへ派遣される陸上自衛隊に安保関連法を適用・運用することに強く反対するとともに、安保関連法の廃止を求め、立憲主義と民主主義を回復するために引き続き全力を尽くすことを誓うものです。

2016(平成28)年9月19日
札幌弁護士会
会長 愛須 一史

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