声明・意見書

―所持品検査開始から1年を迎えて―
裁判所入庁者に対する所持品検査の中止を求める会長声明

 札幌高等裁判所が、2013年(平成25年)3月1日、札幌高等・地方裁判所庁舎(本館・別館の玄関2箇所)において、入庁者に対する所持品検査を開始してから1年が経過した。
 これに対し、当会は、札幌高等裁判所に対し、所持品検査の中止を申し入れるとともに、同年8月7日、会長談話を公表し、所持品検査の問題点を指摘し、改めてその中止を求めた。
 札幌高等裁判所の行っている所持品検査は、来庁者のプライバシーの制約を伴うものであるにもかかわらずその具体的な目的が十分に明らかにされていない点、及び来庁者が所持品検査に同意しなければ裁判所内に立ち入ることができない状況の下で来庁者を含め広く国民を裁判所から遠ざけている点で大きな問題がある。
 また、札幌高等裁判所が行っている所持品検査は民間の警備会社に委託されており、その請負金額は毎月約220万円、1年間で約2640万円になる。国費の適正な執行の観点からしても、その目的が明らかでない高額な支出について、国民の支持を得られないことは明らかである。
 札幌高等裁判所は、今後もその目的を明らかにしないまま、所持品検査を当面の間、継続すると言明している。当会は、札幌高等裁判所に対し、改めて、国民に身近で開かれた裁判所の理念に逆行する所持品検査の実施に抗議し、直ちに所持品検査を中止することを求める。

2014(平成26)年3月27日
札幌弁護士会会長 中村 隆

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