声明・意見書

憲法解釈の変更により集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定に抗議し、即時撤回を求める会長声明

 昨日、政府は、集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定をした。

 当会は、本年5月3日、「集団的自衛権行使容認に反対する会長声明」を発し、このような閣議決定をすることに強く反対することを表明した。

 そもそも集団的自衛権は、「他国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」であり、その行使を容認することは、海外での武力行使への途を開くものである。これは、憲法前文及び第9条が規定する恒久平和主義と全く相容れないものである。

 また、歴代の内閣が「集団的自衛権の行使は、自衛のための必要最小限度の実力行使を超えるため、憲法上認められない」とする憲法解釈を一貫して維持してきたにもかかわらず、これを憲法改正手続を経ずに変更することは、立憲主義を真っ向から否定するものである。

 各種の世論調査でも、集団的自衛権の行使容認に反対又は慎重審議を求める意見が大多数を占めており、国民的議論が尽くされていないことは明らかである。特に、集団的自衛権の行使や海外での武器使用によって生じる重大なリスクについて国民の十分な議論に付さないのは、いかにも拙速で民主主義に反する。

 しかも、政府は、武力行使のための「新三要件」があたかも集団的自衛権を行使する限定になるかのように説明するが、その要件自体が全く曖昧であるうえ、昨年12月に強行成立させた特定秘密保護法の下では、国民どころか国会議員にすら情報が秘匿されることになるので、全く歯止めとならない。

 以上のように、集団的自衛権行使等容認の閣議決定は、恒久平和主義を定める憲法前文や第9条に反するもので、違憲無効といわなければならない。また、憲法による歯止めを閣議決定で緩和させることは、立憲主義に反し、憲法第96条を潜脱して実質的な憲法改正を行なう暴挙にほかならない。

 当会は、憲法違反の閣議決定に対して強く抗議するとともに、政府に即時撤回を求めるものである。そして、今後予想される本閣議決定を前提とする違憲の立法等に対して、これを阻止すべく全力で取り組むことを表明する。

2014年(平成26年)7月2日
札幌弁護士会
会長  田村 智幸

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