犯罪被害者問題Q&A

札幌弁護士会 犯罪被害者支援委員会 著
犯罪被害者弁護ライン 011-251-7822
毎週月曜日 午前10時30分~午後0時30分、
毎週水曜日 午後5時~午後7時

1 弁護士による犯罪被害者支援とは

質問

札幌弁護士会「犯罪被害者支援委員会」って何?

質問

犯罪被害に遭われた被害者の方々のお手伝いをさせていただく弁護士の集まりです。

「犯罪被害者支援委員会」って何をしているの?

①無料電話相談を行っています。
犯罪被害者弁護ライン
電話:011-251-7822(毎週月曜日 午前10時30分~午後0時30分、毎週水曜日 午後5時~午後7時 )
電話相談の内容によっては、初回無料の面接相談を行なっています。
ご利用は北海道内に在住の方又は北海道内で生じた犯罪の被害に遭われた方に限ります。

②捜査機関と連携を図り、支援を必要とされる被害者の方が早期にアクセスできるよう協力体制を作っています。

犯罪の被害に遭いましたが、何をどうすればいいのかまったくわからず、弁護士に相談すべきなのかも判断できません。

まずは犯罪被害者弁護ラインにお電話をください。何をどうすべきかということから、弁護士がアドバイスをいたします。

弁護士が犯罪被害者のためにできることって何ですか?

主に、以下のような活動を行っています。

■刑事裁判に関するもの

  • 刑事裁判等の手続について分かりやすく説明します。
  • 特別な事情がある場合、警察などの事情聴取へ同行します。
  • 加害者の処罰を求めて告訴状・被害届を出します。
  • 不当な不起訴の場合、検察審査会への申立てをします。
  • 捜査状況や裁判の結果、有罪判決後の収容場所、刑務所から釈放された年月日などを確認します。
  • 事件の記録をコピーしたり、閲覧に付き添ったりします。
  • 刑事裁判において、氏名や住所など被害者を特定させる事項を秘匿させるように申し出をします。
  • 刑事裁判の傍聴席を確保し、傍聴に付き添います。
  • 被害者参加をされる場合に、被害者に代わって被告人や情状証人に質問をしたり、被告人から見えないように衝立(ついたて)をたててもらうなどの措置を申し出たりして、参加のお手伝いをします。
  • 被害者が裁判官に対して意見陳述・証言する際に、お手伝いします。
  • 示談、刑事和解、損害賠償命令手続などのお手伝いをします。

■民事裁判に関するもの

  • 民事訴訟等による損害賠償請求やDV加害者との離婚手続などのお手伝いをします。

■経済的支援制度の利用

  • 国から一定の条件に応じて給付を受けることができる犯罪被害者給付金制度のお手伝いをします。

■児童虐待に関するもの

  • 児童相談所に対して通告します。
  • 連携先と協力して被害児童の保護に努めます。
  • 被害児童の環境調整のため、行政との折衝や家事事件などを担当します。

■DV・ストーカーに関するもの

  • ストーカー規制法による対処(警告・禁止命令の申立)やDV防止法による対処(配偶者(内縁関係も含む。)に対し暴行を行なっている者に対する接近禁止命令・退去命令)の申立てをします。

■その他

  • 報道機関からの取材に対して、弁護士が窓口になって、被害者ご本人のプライバシーを守ります。

弁護士の費用はどのくらいかかるの?

上記の電話相談から面接相談に移行した場合は初回の面接相談は無料です。

それ以外の場合は、30分毎に5,000円程度の相談料がかかります。その後の弁護士費用については、事件の種類や請求額によって個別に決定されます。面接の際に、弁護士にお気軽にご相談ください。

弁護士費用が払えない場合にはどうすればよいの?

①刑事手続に関する支援について、現金や預貯金などの合計額が300万円以下であれば、犯罪被害者法律援助の制度を使える場合があります。300万円を超える額があっても治療費などの支出を予定している場合は、この制度を利用できる可能性もあります。この制度を利用できる場合、基本的に無償です。詳しくはこちらの法テラスのホームページを参照して下さい。

②起訴された後は、国が費用を負担して被害者参加弁護士を依頼できる場合があります。詳しくはこちらの法テラスのホームページを参照してください。

③損害賠償など民事上の請求をする場合も、法テラスの民事法律扶助を使える場合があります。この場合は、援助ではなく「立替」という形になるので、月々5000円~1万円の返還が必要になります。詳しくはこちらの法テラスのホームページを参照してください。

被害に遭って以来、毎日精神的につらい思いをしています。このような精神面のケアをしてくれる相談窓口はありますか。

弁護士が被害者の方に寄り添って、親身になってご相談に応じます。また、犯罪被害者弁護ラインのほかに、以下の専門的な相談窓口もあります。

①北海道家庭生活総合カウンセリングセンター
専門的な知識を有するカウンセラーが、カウンセリングを通じて、あなたのこころのケアを行ってくれます。北海道家庭生活カウンセリングセンターに関する情報はこちらのホームページを参照してください。

②性暴力被害者支援センター北海道-SACRACH(さくらこ)
性被害に遭われた女性のためにカウンセリングを実施したり、医療機関や弁護士などの専門家を紹介したりしています。
さくらこに関する情報はこちらのさくらこのホームページを参照してください。

2 刑事手続について知りたい

加害者に対する処罰を求めたいのですが、どうすればよいでしょうか。

警察に被害届や告訴状を提出する必要があります。一人で警察に行くのが不安であったり、警察で何をどう話せば良いのか分からないというときには、弁護士がサポートすることができます。

具体的に加害者が処罰されるまでの流れはどうなりますか。

刑事手続の大まかな流れは次のとおりです。

犯人が逮捕されてから裁判が終わるまで、どの程度の時間がかかるのでしょうか。

犯人が逮捕された場合、犯人は、2日間ほどの身柄拘束の後、身柄を検察庁に送られ(送検)、必要があればさらに10日から20日間程度身柄を拘束された上で、起訴・不起訴の処分を決定されます。起訴され、正式な刑事裁判になった場合には、裁判が終わるまで少なくとも1~2か月程度の時間を要します。

逮捕されてから裁判が終わるまでの間に犯人が釈放されることはあるのでしょうか。

犯人が逮捕された場合、48時間以内に身柄を検察庁に送られ、検察官が24時間以内に身柄拘束の継続(勾留)を裁判所に求めるか否かの判断をします。検察官が勾留を求めなかったり、裁判所が検察官の勾留請求を却下したりした場合には、その時点で釈放されます。また、検察官が犯人を起訴しないと判断したときには、通常はその時点で釈放されます。犯人が起訴された後は、犯人の側から保釈を求めることが可能になり、保釈が許可された場合には、裁判が終わる前でも釈放されます。

加害者を告訴したいと思っていますが、相手からの逆恨みがこわいです。私の名前を加害者に知られないようにする手段はないでしょうか。また、自分が被害に遭ったことを他人に知られたくないのですが・・・。

捜査活動や裁判を通じて、被害者が希望した場合には、被害者を特定する事項を加害者側に知らせないようにする措置が広くとられています。
特に性被害の場合には、被害にあった方の実名が第三者に知られることがないように、法廷での呼び名を「被害者A」とするなどの配慮がなされています。

もっとも、裁判所によっては、運用が異なるところがありますので、担当する警察官、検察官に確認するか、弁護士にお問い合わせください。

加害者が不起訴になったと聞きました。起訴・不起訴とはなんでしょうか。また、不起訴という判断に納得がいかないときは、どうすればよいのでしょうか。

起訴は裁判を受けさせること、不起訴は裁判を受けさせないことを言うととらえていただければ良いかと思います。

もちろん、犯罪の被害に遭ったのに、加害者が処罰を受けないというのは納得できない、検察官の判断が誤っているという場合もあろうかと思います。その場合には、検察審査会という機関に対して不服の申立てを行うことができます。検察審査会は、国民の中から無作為に選ばれた11名の審査員で構成される機関で、検察官の不起訴処分の当否を審査します。

検察審査会に関する詳しい情報は、こちらの裁判所のホームページを参照してください。

加害者に対する刑事手続の進行状況や結果を知ることはできますか。

被害者通知制度という制度があり、実際に起訴になったのか不起訴になったのか、裁判はいつ行われるのか、刑務所に入った犯人はいつ出てくるのか等を教えてくれます。

詳細については、こちらの法務省のホームページを参照してください。

加害者の刑事裁判を傍聴することはできますか。

裁判は公開されていますので、誰でも傍聴することができます。また、傍聴者が多数になることが予想される場合には、事前に裁判所に申し出ておけば、傍聴ができるように配慮してもらうことができます。弁護士を介して裁判所に傍聴希望の申し出をすることや、弁護士が傍聴に付き添うこともできます。

被害者として刑事裁判に参加することはできますか。

一定の犯罪については、裁判所に被害者参加の申し出をして、裁判所の許可を得ることで、被害者参加人として加害者に対する刑事裁判に参加することができます。被害者参加制度の対象となる事件は、次のとおりです。

① 故意の犯罪行為により人を死傷させた罪(殺人、傷害、危険運転致死傷等)
② 性犯罪(強制わいせつ、強制性交等、準強制わいせつ、準強制性交等、監護者わいせつ、監護者性交等)
③ 業務上過失致死傷罪、過失運転致死傷等の罪
④ 逮捕及び監禁の罪
⑤ 略取誘拐、人身売買の罪
⑥ 上記の犯罪行為を含む犯罪
⑦ これらの未遂罪

被害者参加人は何をすることができるのですか。

被害者参加人は、刑事裁判において、以下の行為を行うことができます。

① 公判期日に出席し、当事者席に座ることができます。
② 検察官に対して意見を述べることができます。
③ 一定範囲内で、証人尋問ができます。
④ 被告人に対して、質問することができます。
⑤ 犯罪事実や刑期などについて、検察官とは別に意見を述べることができます。

被害者参加をするに当たって、弁護士の援助を受けることはできますか。

被害者の方から委託を受けた弁護士も、被害者参加人と同様の活動を行うことができます。たとえば、証人尋問のみを弁護士に任せ、意見陳述はご本人が述べるということもできます。

被害者本人でなくても、被害者参加することはできますか。

被害者ご本人が亡くなられた場合や心身に重大な故障がある場合には、その配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹も被害者参加することができます。また、被害者ご本人が未成年者である場合には、法定代理人であるご両親も被害者参加することができます。

被害者参加をせずに、刑事裁判に関わる方法はありますか。

被害者参加をしない場合でも、あらかじめ検察官に対して申し出ることで、被害に関する心情等についての意見を陳述することができます。

刑事裁判で、自分が被害者であることを傍聴人等に知られないようにすることはできますか。

一定の性犯罪等については、あらかじめ検察官に対して申し出ることで、住所や氏名など、被害者を特定させる事項を明らかにしないようにしてもらうことができます。

被害者参加の希望はありますが、加害者や傍聴人から自分の姿を見られることは避けたいという場合、何か良い方法はありますか。

加害者や傍聴人から姿を見られることのないように衝立(ついたて)を立ててもらうなどの措置をとってもらうことができます。

加害者の裁判に証人として出廷することを求められているのですが、加害者や傍聴人から自分の姿を見られたくありません。何か良い方法はありますか。

加害者や傍聴人から姿を見られることのないように衝立(ついたて)を立ててもらうなどの措置をとってもらったり、別室でテレビモニターを通じて証人尋問を実施してもらえることがあります。

加害者が未成年者である場合、少年審判を傍聴することはできますか。

少年審判は原則として非公開とされていますが、故意の犯罪行為により人を死傷させた場合など一定の場合には、被害者やその遺族の傍聴が許可されることがあります。

少年審判において、意見を述べることはできますか。

少年審判においても、被害に関する心情その他の事件に関する意見を述べることができます。

少年審判において、加害者に直接質問することはできますか。

少年審判においては、加害者に対する質問は認められていません。

少年審判を傍聴しない場合でも、少年審判の様子や結果を知ることはできますか。

家庭裁判所に申し出ることで、少年審判当日の状況についての説明や審判結果の通知を受けることができます。

刑務所での加害者の処遇状況や刑務所から釈放される時期についての情報を得ることはできますか。

刑事裁判の確定後、検察庁に申し出ることで、収容されている刑務所の名称、刑務所における処遇状況、釈放予定時期、仮釈放審理に関する事項、保護観察中の処遇状況などの情報を入手することができます。

加害者が少年である場合に、審判後の加害者の処遇状況や少年院から退院する時期についての情報を得ることはできますか。

加害者が少年院に送致された場合には少年鑑別所に、保護観察となった場合には保護観察所に申し出ることで、加害者の処遇状況等についての通知を受けることができます。

加害者の刑務所からの仮釈放や少年院からの仮退院について、被害者として意見を述べることはできますか。

加害者の仮釈放・仮退院についての審理が行われている間に、地方更生保護委員会に申し出ることで、仮釈放・仮退院に関する意見や被害に関する心情を述べることができます。

3 損害賠償を請求したい

私は今回受けた被害をきちんと賠償して欲しいと考えています。そのためにはどうすればよいでしょうか。

犯人に対して賠償を求めるための手段は、大きく分けると以下のように分かれます。

1 加害者との話し合い(示談交渉)による賠償
2 法的な手続による賠償(調停・訴訟・損害賠償命令)

どの手続がよいのかは、事案に応じて異なりますので、弁護士にご相談ください。

加害者側が弁護士を通じて示談したいと言ってきました。どう対応すれば良いでしょうか。そもそも、加害者の弁護士が言っている示談金が適切なのかどうかも分かりません。

加害者側からの提案が、本当にあなたの受けた損害を賠償するのに十分な金額といえるのかどうか、なかなか判断がつかないのではないかと思います。そのような場合には、まず、弁護士に相談していただければと思います。弁護士が、あなたが受けた被害に応じて、適切な内容の示談となるようにアドバイスいたします。

加害者と示談することで、何か不利になることはありますか。

通常、示談をすると、その示談金をもって一切の損害の賠償を受けたことになります。後から自分が受け取った賠償金が少ないと知っても、やり直すことは原則としてできませんので、示談書を取り交わす前に、その示談内容で本当に大丈夫かどうかを慎重に判断する必要があります。

また、示談を成立させて賠償を受けると、加害者側の刑事責任が軽減される傾向があります。特に加害者を「宥恕する」(「許す」という意味です。)という文言が示談書に含まれている場合には、加害者に有利な材料として扱われることが多いので、加害者の刑事責任に及ぼす影響を十分理解した上で、示談に臨む必要があります。

判断に迷ったときは、弁護士にご相談ください。

法的な手続で加害者に対して賠償を求めるにはどうすればよいですか。

法的な手続による賠償は、①調停、②訴訟、③損害賠償命令、④刑事和解の4種類があります。それぞれの手続の特色は次のとおりです。

1 調停
調停とは、社会経験豊かな男性1名と女性1名の調停委員と裁判官又は調停官1名に間に入ってもらって、話し合いをする手続です。あくまでも話し合いの手続ですので、調停手続の中で加害者側と折り合いがつかない場合には、解決に至らない場合もあります。

2 訴訟
訴訟とは、裁判所に対して、訴えを提起し、どのような部分について当事者に争いがあるのかを特定した上で、最終的にそれぞれから提出された証拠に基づいて、裁判所が判断を行うという手続です。犯罪被害に遭い、損害が発生したということを被害者側であるあなたが証明していくことになりますので、証拠を収集して提出する必要があります。

3 損害賠償命令
損害賠償命令とは、殺人や傷害などの一定の重大犯罪について、刑事事件の裁判に引き続いて、加害者に対して、発生した損害の賠償を求める手続です。刑事事件の裁判を担当した裁判官がそのまま引き続き、この審理を担当し、刑事事件で使われた証拠がそのまま不法行為を認定するための証拠として用いられますので、訴訟のように、すべての証拠を自力で準備する必要性はありません(もちろん、自ら集めた証拠を提出することは当然できます)。また、申立てにかかる手数料が請求額に関わらず一律2000円となっており、被害者にとって利用しやすい制度となっています。

4 刑事和解
刑事和解とは、被害者と加害者との間で損害賠償についての合意ができている場合に、当該合意の内容を刑事裁判の公判調書という書類に記載してもらうことができる制度です。分割払いで合意したものの、相手が支払わなくなったという場合、本人同士で示談書を作成しただけの場合には、裁判を起こして勝訴判決を得た上で差押えの手続をとる必要がありますが、刑事和解の手続をとっていた場合には、裁判を起こすことなく、いきなり差押えの手続をとることができるという利点があります。

加害者に対して賠償を求めて裁判を提起すると、私の連絡先や住所などが知られることになりませんか。今後関わり合いを持ちたくないので、連絡先や住所を知られないような方法がとれないでしょうか。

賠償を求める裁判では、誰が誰に対してどの程度のお金を支払うのかということがそれぞれ特定されていなければなりませんので、氏名については知られてしまうことになります。

もっとも、住所や連絡先などについては、実際に住んでいるところではなくても大丈夫ですし、弁護士に依頼する場合には、弁護士事務所を住所・連絡先とすることが可能です。

賠償を求める裁判などの手続を行った場合、実際に加害者から賠償金を支払ってもらえる可能性はどの程度あるのでしょうか。

加害者が一定期間刑務所に入るような場合には、裁判の結果、支払うよう命じられたとしても、加害者からその金額を取り立てることは現実問題として難しいと考えられます。加害者の生活状況や予想される処分結果に応じて、どのような方法で賠償を求めるのかを判断する必要があります。判断に迷ったときは、弁護士にご相談ください。

加害者にお金がなく、賠償を受けられない場合、何らかの経済的支援を受けることはできないのでしょうか。

犯罪の被害によりお亡くなりになられた場合や、重大な怪我をし、後遺症が残存したという場合には、国から犯罪被害者等給付金が支給される場合があります。

具体的な内容については、こちらの北海道警察のホームページを参照してください。

4 交通事故の被害に遭ったときは

(1) 総論

交通事故にあって怪我をしました。何をすればよいのか全くわかりません。どうすればよいか教えてください。

交通事故の被害にあったら、まずは、警察に通報して事故の報告をしてください。交通事故の被害者が関係する法的な手続は、刑事事件(加害者を処罰する手続)と、民事事件(被害にあったことについて、金銭的な賠償や補償を受ける手続)がありますが、いずれについても、警察への通報がないと、大きな支障が生じます。

(2) 交通事故・刑事編

被害者は刑事事件については何もできないのでしょうか?

被害者参加制度を利用して、刑事裁判に参加して、尋問をしたり、意見を述べたりすることができます。被害者参加制度に関する一般的な説明はこちらの質問を参照してください。

私の息子は、自宅の近くの住宅街の道路を自転車で走行していたところ、一時停止無視の車に跳ねられて死亡しました。車の速度は、時速60キロでした(その道路の制限速度は時速30キロです。)。加害者の運転は、非常に危険だと思いますし、厳重に処罰して欲しいと思っています。危険運転致死罪という罪があると聞きましたが、本件では適用になるのでしょうか。

危険運転致死傷罪に該当するのは、飲酒により正常な運転が困難な状態であるとか、赤信号を故意に無視した場合のように、法律で明記された一定の運転行為です。御相談のケースは、大変危険な運転ですが、法律に明記された運転行為にあてはまりませんので、危険運転致死罪(最高刑が懲役20年)には該当せず、通常の過失運転致死罪(最高刑が懲役7年)にあたります。

私の息子は、飲酒運転の運転手の車にひかれて、死亡しました。運転手の他に、同乗者が2名いるのですが、同乗者2名は会社の上司で、一緒に飲酒して、酒に酔っている部下に命じて運転をさせたようです。この同乗者も処罰してもらえるのでしょうか。

飲酒運転と知りながら、運転を要求・依頼して同乗した場合には、道路交通法違反により、同乗者も処罰されることがあります。また、飲酒運転をすることを知りながら、運転手にお酒を提供した場合も、道路交通法違反によって処罰されることがあります。さらに、酒酔いの状態がひどいことを知りながら、部下に運転を指示して同乗したようなケースでは、危険運転致死傷罪の共犯として処罰されている例もあります。

事故から半年が経ちますが、相手の処罰がどうなったのか、わかりません。どこに聞けばよいのでしょうか。

まずは、事故の捜査を担当した警察署に問い合わせをして、捜査の進捗状況を確認してください。既に検察庁に送致されている場合には、送致された日、送致された検察庁を確認したうえで、検察庁に問い合わせてください。検察庁では「被害者通知制度」という制度がありますので、希望すれば、処分結果を通知してもらうことができます。

被害者通知制度の詳しい内容は、こちらの法務省のホームページを参照してください。

加害者が誠実に謝罪してくれないので、厳しく処罰してもらいたいと思っていますが、被害者が、警察や検察庁に意見を言うことはできるのでしょうか。

警察や検察庁で、被害者の供述調書を作成する際に、加害者に対する処罰についての意見を記載してもらうことができます。重大事故に関しては、被害者の供述調書を作成しますので、その際に、加害者の不誠実な態度や、それに関する被害者の意見を記載してもらうことができます。

加害者が起訴されて、裁判が行われることになりました。被害者は、裁判に参加して意見を述べたり、加害者に質問したりすることができますか。

被害者参加の申出をして、裁判に参加することができます。被害者参加制度の詳しい内容は、こちらの質問を参照してください。

検察庁に問い合わせたところ、加害者は「不起訴」になったと言われました。これはどういう意味でしょうか。自分は事故の後遺症で苦しんでいるのに、加害者が処罰されないのは納得できません。どうすればいいですか。

検察庁は、捜査を終えた段階で、加害者について最終的な処分を決めます。基本的には、次の三つの処分です。

① 不起訴(加害者を「処罰しない」ということを検察庁が決めた場合です。)
② 略式起訴(罰金刑で終わらせる処分です。加害者の悪質性がそれほど高くなく、被害者のケガもあまり重くないときに選択されます。)
③ 起訴(公判請求とも言われています。法廷で裁判が開かれます。なお、「危険運転致死罪」については裁判員裁判となりますが、それ以外の罪で起訴された場合には裁判官だけの裁判になります。)
不起訴に納得がいかない場合、まずは、担当の検察官に不起訴の理由を確認してください。交通犯罪の場合は、一瞬の出来事であり、目撃者等がいない場合には、証拠がないため、起訴できないケースも一定割合で存在します。検察庁は、十分な証拠がなければ、起訴(裁判にかける)することはできません。

検察庁の説明を聞いても、どうしても納得できなければ、検察審査会に申し立てることが可能です。検察審査会については、こちらの質問も参照してください。

事故後に警察が現場検証をしていたのですが、そこで作成された図面等を見たいのです。私が見ることは出来ますか。また、加害者が、どんなことを言っているかを知りたいのですが、加害者の供述調書を見ることはできますか。

警察が作成した図面や供述調書の閲覧やコピーについては、事故後すぐに見ることはできません。捜査段階、公判段階、判決確定後の3段階に分けて、次のような制度になっています。

【捜査段階】
 捜査段階では、基本的に捜査資料を見ることはできません。ただ、警察や検察庁では、被害者や遺族が希望すれば、事故概要を説明してくれますので、その際に、図面を示して説明してくれたり、被疑者の言い分を説明してくれるケースはあります。

【公判段階】
 捜査が終了し、被疑者が起訴された場合には、第1回公判後に、閲覧・コピーを申請することができます。この手続は、検察庁ではなく、裁判所に申請するので注意してください。
 閲覧やコピーできる記録の範囲については、特に制限はありませんが、裁判所の判断で、関係者のプライバシー等への配慮から、一部、不開示とされたり、マスキング(関係者の個人名等を見えないようにテープを貼る等の措置)がなされることがあります。
また、被害者参加する場合には、第1回公判前であっても、検察庁で記録の一部を閲覧できることがあります。

【判決確定後】
 判決確定後(略式起訴による罰金も含む)は、検察庁において、確定記録の閲覧が可能となり、基本的に、裁判に提出された記録全てを閲覧することができます。ただし、全体について、プライバシー保護等の理由でマスキングがされる場合があります。
 法律上認められているのは「閲覧」のみですが、検察庁の許可を受ければ、コピーも可能であり、交通事犯の記録については、コピーが認められているケースが多いです。

【不起訴処分後】
 検察庁が起訴せずに、「不起訴」の処分を決定すると、実況見分調書等の一部の証拠についてのみ、閲覧・コピーすることが可能になります(供述調書は対象外です)。

交通事故の被害にあった場合、弁護士に依頼することはできますか。弁護士は何をしてくれるのですか。また費用はいくらくらいかかりますか。依頼する場合には、どうすればいいですか。

弁護士に依頼して、警察や検察庁に同行してもらったり、裁判が開始された場合には、裁判に同席し、尋問を行ったり、加害者に対する求刑の意見を述べてもらったり、といった被害者の支援をしてもらうことができます。費用や依頼方法の詳細は、こちらの質問を参照してください。

(3) 交通犯罪・民事編

事故後、治療のため仕事ができませんでした。また、後遺症が残ったため、事故前の仕事を続けることができず、転職を予定しています。こうした損害については、賠償してもらえるのでしょうか。

被害者は、加害者に対して、損害賠償を求めることができます。加害者に請求できる主な損害は次のようなものです。なお、ここに記載されているのは、あくまでも「主な損害」ですので、これ以外にも、交通事故によって発生した損害であれば、損害として認められる可能性があります。

治療費 事故による傷害の治療のためにかかった治療費
入院雑費 入院中に発生する雑費
付添費用 被害者が入院し、家族の付添が必要であった場合に生じる費用
介護費用 非常に重い後遺障害が残り、病院を退院した後も介護が必要な場合に生じる費用
通院交通費 被害者自身が病院に通院するためにかかった費用
装具等の購入費 事故の治療や後遺障害の為に装具、松葉杖、車椅子等を購入した費用
家屋等改造費用 重大な後遺障害が残り、自宅を改築する必要が生じた場合にかかった費用。なお、介護用車両の購入費用も請求できることがあります。
葬儀関係費用 死亡事故の場合に、被害者の葬儀の実施のためにかかった費用
休業損害 事故による治療期間中、仕事が出来なかった場合に発生する損害
逸失利益 後遺障害により将来にわたって収入が減少することによる損害
慰謝料 事故による精神的損害

以上は、一般的な損害項目をあげましたが、支出があれば当然に認められるわけではなく、それぞれについて必要かつ相当な範囲で認められることになっています。

加害者の運転していた車は、無保険だったのですが、このような場合には賠償がなされないのでしょうか。

保険の加入・未加入にかかわらず、加害者があなたに損害を与えた以上、加害者には損害賠償責任があります。しかし、加害者自身にお金がない場合には、現実には支払ってもらえない可能性があります。このような場合には、以下のような保険(又は制度)が利用できないかどうか、よく確認してください。

① 自賠責保険  基本的には自動車を運行する以上、自賠責保険に加入する義務があります。加害車両に自賠責保険がついているかどうかは、警察の発行する交通事故証明書で確認することができます。自賠責保険がついていれば、自賠責保険会社に、直接、「被害者請求」をすることで、自賠責保険金の支払を受けることができます。ただし、自賠責保険には上限額が定められており、後遺障害が残らない場合には120万円が限度額となります。後遺障害が残った場合には、別途等級に応じて最高4000万円まで支払われます。死亡の場合には最高3000万円が支払われます。
自賠責保険についてはこちらの国土交通省のホームページで詳しく説明されています。

② 政府保障事業  自賠責保険にすら加入していない自動車は極めて稀ですが、そのような場合に、自賠責保険と同額を政府が支払う制度です。ひき逃げ事故のように、加害者がわからないケースについても、この制度を利用して、自賠責保険と同程度の補償を受けることができます。この手続は、自動車保険を扱うどこの損害保険会社においても申請を受け付けることになっていますので、最寄りの保険会社に行って「政府保障事業の申請をしたい。」と申し出れば、対応してもらえます。政府保障事業についてはこちらの国土交通省のホームページで詳しく説明されています。

③ 人身傷害保険と無保険車傷害保険  あなた自身や家族が車を保有している場合には、その車にかけている自動車保険の保険会社にすぐに相談してください。「無保険車傷害保険」や「人身傷害保険」(「人身傷害補償保険」、「人身傷害補償特約」等、保険会社によって呼び方が違うことがあります。)によって補償される可能性があります。  これらの保険の適用範囲はかなり広いので、以下の各自動車の保険の損害保険会社によく確認してください。
a 事故にあったときにあなたが乗車していた自動車にかけられている自動車保険
b あなた自身が保有している自動車にかけられている自動車保険
c あなたの家族が保有している自動車の自動車保険(別居していても適用されることがあります。)
 これらの自動車保険に「人身傷害保険」や「無保険車傷害保険」が附帯していれば、補償を受けられる可能性があります。歩行中や自転車に乗っているときの事故であっても、適用されるタイプの保険が一般的です。歩行中の被害事故に、自分や家族の自動車保険は関係ないと誤解しているケースもありますので、すぐに、保険会社に問い合わせてみてください。現在の保険はかなり広い範囲でカバーされますので、事故にあった場合には、自分や家族の車とは無関係な事故であっても、まず、自分や家族の契約している保険会社に事故の報告をして、使える保険がないかどうかを確認しておくとよいでしょう。
 なお、人身傷害保険と無保険車傷害保険は、通常は、どちらか一方しか利用できません。まずは、治療費等については人身傷害保険で対応してもらい、後日、無保険車傷害保険に切り替えることも可能です。
 人身傷害保険や無保険車傷害保険の具体的内容は、あなたが契約している保険会社のホームページや保険約款でも確認することができます。自分や家族の契約している自動車保険が、どのような場合に使えるのかについて、日頃から確認しておくとよいと思います。

加害者側の保険会社から、「あなたにも3割の過失がある。」と言われたのですが、治療費や休業損害等の損害のうち、3割分は補償されないのでしょうか。

交通事故の場合には、被害者にも事故の原因となる過失(落ち度)がある場合があります。このような場合、事故によって発生した損害(上記の表であげた損害)のうち、全てを加害者に賠償してもらうことができません。例えば、被害者にも3割の過失があるということになれば、損害の7割は加害者側に請求できますが、3割分は、被害者側の自己負担となってしまうのです。

ただし、まずは、保険会社が言っている「3割」が正しいかどうかが問題となります。過失相殺の比率について、あなたが納得できなければ、日弁連交通事故相談センター交通事故紛争処理センターを利用して第三者に判断してもらったり、民事裁判をすることも可能です。また、最終的にあなたに3割の過失があったとされる場合でも、前述の「人身傷害保険」が利用できる場合には、あなたの過失分も含めて補償してもらえることがあります。この点も、保険会社によく確認してみてください。

5 殺人事件の被害に遭ったときは

 夫が帰宅途中に、突然路上で見ず知らずの人間に胸などを複数回刺されて命を奪われました。

相手は殺人罪になりますか。

必ず殺人罪になるわけではありません。たとえば以下のような犯罪が刑法に規定されており、それぞれの刑罰は以下のとおりです。

  1. 殺人:死刑、無期懲役、若しくは5年以上の懲役
  2. 傷害致死:3年以上20年以下の懲役
  3. 強盗殺人・致死:死刑、無期懲役
  4. 強制性交等致死等:無期又は6年以上の懲役

相手方が被害者を死に至らしめた場合に、殺意があったか否かによって、殺人罪が成立するか傷害致死罪が成立するか違いがあり、当然刑罰も変わってくるのです。

夫を奪われた悲しみで精神的に辛くて、仕事にも行けません。何をどうすればよいでしょうか。このままではいけないとは思うのですが・・・

ご遺族の方の被った精神的苦痛は、耐え難いものがあると思いますし、それを容易に回復することは難しいだろうと思います。

精神的苦痛を少しでも和らげるためには、専門の精神科医やカウンセラーがいます。詳しくはこちらの質問を参照してください。

夫を殺害した犯人が逮捕されました。遺族の私は、今後何をすることになるのでしょうか。

犯人は、今後捜査活動を経て、刑事裁判を受けることになるのが通常です。
その際に、警察や検察庁から亡くなられた方の人となりや、遺族としての現在の心境などを質問され、それを供述調書という証拠にとりまとめてくれると思います。
また、犯人が実際に裁判を受けることになったのかどうか、その裁判はいつ行われるのかということを検察庁から教えてくれます。

裁判では、傍聴することができるのはもちろんですが、現在被害者参加制度というものがあり、遺族として刑事裁判に参加し、現在の心情を裁判所に訴えたり、犯人に対して質問を行うこともできる場合があります。
詳しい手続については、こちらの質問を参照してください。

犯人が逮捕されて1か月以上経つのに、なかなか犯人が起訴されません。犯人の責任能力に疑問があるという話ですが、どういうことなのでしょうか。

犯人を処罰するためには、その犯人が犯罪を行ったことに加えて、その犯人が犯罪を犯した時点で、有効な判断能力があったといえる必要があります。この判断能力のことを法律用語で責任能力といいます。
そして、精神的な病気等の影響により判断能力が全くないと判断された場合には、心神喪失といって、その犯人を処罰することはできません。
また、判断能力が全くないとはいえないと判断されても、判断能力が著しく低下している場合には、心神耗弱といって、その罪が軽くされることになっています。

現時点で、捜査機関としては、犯人が犯行当時責任能力があったかどうかを判断するために、鑑定留置といって、精神科医に依頼して、一定期間犯人の様子を観察したり、様々なテストをさせて、事件当時の判断能力に問題がなかったかどうかを鑑定しているところだと思われます。
この鑑定留置は、1~2か月程度かかり、その結果を経て、検察官は犯人を起訴するかどうかを決めることになります。

それでは、判断能力がないとされた場合はどうなるのですか。犯人は無罪放免で釈放され、社会復帰するのですか。

釈放されるわけではありません。

判断能力がないとされた場合には、刑事責任を問うことはできませんから、犯人を刑務所に入れることはできませんが、病気の影響とはいえ、今後も他者に危害を加えるおそれがあるかもしれないので、事件の原因となった病気の治療のために強制入院等の措置が取られることがあります。
心神喪失者等医療観察法とはこのように精神的な病気等の影響により重大な加害行為を行った人物の治療を行うための法律であり、その人物にとって適切な治療を受けさせることになりますので、直ちに社会復帰するというものではありません。

なお、心神喪失者等医療観察法に関する情報はこちらの法務省のホームページを参照してください。

犯人が殺人罪で起訴されたということを検察官から聞いてもう2か月になりますが、一向に裁判が始まりません。いったいどうなっているのでしょうか。

殺人罪で起訴された場合、この裁判は裁判員裁判という裁判の対象となります。
裁判員裁判については、ご存じかもしれませんが、一般の方々も裁判員として裁判に参加する制度です。
裁判員裁判を行う前提として、まず公判前整理手続というものを行うこととなっています。

公判前整理手続とは、裁判の前に、検察官・弁護人・裁判官が裁判で何が争点となっているのか、どの部分について証人を呼ぶのか等、一般の方々も参加する裁判を効率的、かつ、わかりやすく進行させるために様々な準備を行う手続です。 この公判前整理手続は、非公開の手続で行われ、その内容は明らかにされないことになっています。
この公判前整理手続は、事件の争点が多いなど、時間を要する傾向があり、長い場合には、1年間にも及ぶこともあります。

ただ、公判前整理手続でどのようなことが行われているかの概要程度については、場合によっては、検察官も教えてくれる場合もありますので、問い合わせてみてはいかがでしょうか。

刑事裁判に、被害に遭って亡くなった夫の遺影を持ち込みたいのですが可能でしょうか。

お気持ちはよくわかりますが、遺影を裁判の場に持ち込むことができるかどうかは、その裁判所の判断により決まります。
中には、遺影を持ち込むことを許さない裁判所もあり、その理由は、裁判員に影響を与えるということをできるだけ回避したいということのようです。

いずれにせよ、遺影を持ち込むことが許されるのか否かということは、事前に裁判所に確認する必要があります。

刑事裁判に参加して、遺族としての意見を述べることができたり、犯人に質問をすることができると聞きましたが、犯人に何を言えばいいかわかりませんし、自分ではいえそうもありません。どうすればよいでしょうか。

被害者参加制度により、刑事裁判に参加された場合には、弁護士と一緒に裁判に参加することができます。

詳しくはこちらの質問を参照してください。

犯人に対する処罰について意見を言えると聞きました。どのような処罰を求めても良いのでしょうか。私は当然死刑を求めますが、検察官が求める処罰とは違うようであり、悩んでいるのですが。

被害者参加人が行う「弁論としての意見陳述」は、あくまでも被害者参加人の意見を言えば良いのであり、必ずしも検察官と一致する必要はありません。
ただし、被害者参加人が求める処罰が、法律で定められた刑罰にはないような場合(例えば、傷害致死の犯人に対して、法定刑にはない死刑を求める等)には、そのような主張をすることについて、相当ではないので、認められません。

判決がでましたが到底納得のいく内容ではありません。不服を申し立てて欲しいのですが、どうすればよいですか。

刑事裁判の判決内容に対して不服がある場合、控訴することができるのは、検察官と被告人であり、被害者側としては、検察官に対して控訴するようお願いすることとなります。
もっとも、検察官が求めた求刑と、実際の判決結果が同じ場合には、例えあなたが求めた求刑と異なる結果であっても、検察官としては控訴する理由がないので、控訴することはできません。
控訴をできるのは、判決後2週間以内なので、控訴をお願いする場合には、早急に控訴するようお願いする必要があります。

ただし、最終的に控訴するか否かを決めるのは検察官であり、お願いしても控訴をしてくれない場合もあることにご注意下さい。

犯人側から賠償は一切してもらっていません。夫が殺された後の生活は経済的に大変苦しいです。何か方法はないでしょうか。

犯罪被害給付制度という制度があり、犯罪被害に遭った場合に、被害者やその遺族に対して給付金が支払われます。申請する場所は、近隣の警察署や警察本部になります。

ただし、原則的に犯罪被害が発生したときから2年間申請がない場合には、給付を受ける権利がなくなってしまいますので、早急に行動していただければと思います。

なお、犯罪被害給付制度は、相手に責任能力がないとされて、刑事裁判を受けなかった場合であっても給付されます。

6 窃盗事件の被害に遭ったときは

 仕事を終えて帰宅したところ、自宅の窓ガラスが割れ、室内が物色されており、空き巣に入られたことが分かりました。

まず、私は何をしたらよいでしょうか。

盗難被害に遭われたときには、まずは110番通報してください。
通常は、警察による捜査が行われて犯人を絞り込んでいきますが、防犯カメラ映像は数日で消去されてしまうことが多いので、すぐに必要な捜査をしてくれない場合には、弁護士にご相談ください。弁護士から、必要な捜査をしてもらえるよう警察にお願いしたり、防犯カメラ設置先に映像の保存をお願いするなどの作業を行います。

110番通報をして、警察による実況見分が行われ、犯人が特定されたようです。これからどうなりますか?

犯人が逮捕された後は、犯人に刑事弁護人が就けば、弁護人を通じて、被害弁償や示談の申入れがあると思います。申入れがない場合には、損害の賠償請求をして損害回復していく必要がありますが、弁護士に相談していただければ、これらの対応をあなたに代わって弁護士が行います。

犯人が逮捕されない場合にも、加入している火災保険等の保険金の支払いを受けることができないか等々、損害の回復に向けて、弁護士が諸々のアドバイスを致します。

その後、捜査がどうなったのか何も連絡もないので、警察に問い合わせたところ、どうやら裁判になるようです。どうなるか私にはおしえてもらえないのでしょうか。

被害者が希望をすれば、犯人に対する処分結果や裁判の日時・裁判結果等についての通知を文書で受けることができます。

刑事裁判の数日前に、犯人の弁護人から、示談をしたいが、一括での弁償は困難なので、1年間の分割で支払いたいと言われました。どのように対応して良いのか悩んでいます。

犯人が逮捕されると、犯人に弁償する資力がある場合には、示談の申し入れがなされることが多いです。示談をすれば、犯人の有利な事情となりますので、重い処罰を望むなら示談しない方がいいこともあります。迷った時は、弁護士に相談して判断するのが良いと思います。

分割払いとの約束をして示談をしても、刑事裁判が終わってしまうと、約束が守られず、支払いがなされないことも少なくありません。そのようなことを防止するために、公正証書を作成したり、刑事裁判の中で、刑事和解という制度を利用したりして公正証書と同じ効力を持つ書面を作成しての和解をすることもできます。

7 強盗事件の被害に遭ったときは

 仕事帰りに夜道を歩いていたところ、背後から二人乗りのスクーターが走行してきて、追い抜きざまに私が持っていたハンドバッグをひったくられました。 私は、ハンドバッグを取られてなるものかと思い、バッグから手を離さなかったことから、私はそのまま10メートルほど引きずられてしまい、最後は力尽きてバッグを奪われ、転倒して路面に打ち付けられてしまい、左腕を骨折する怪我を負いました。

非力な女性を狙った犯人を絶対に許せません。私は裁判で何ができるでしょうか。

あなたの被害は強盗致傷事件で、被害者参加が可能です。 被害者参加についてはこちらの質問を参照してください。

犯人から謝罪も被害弁償の申し入れもないので、犯人が何をどう考えているのかわかりません。参加するかどうか決める前に、犯人の言い分を知りたいのですが。

裁判が始まる前に犯人の調書等の刑事事件の記録を閲覧することができます。その内容を見てから、実際に被害者参加するか否かを決めることもできますし、被害者参加する場合には、被告人の調書等の内容を確認した上で、質問する内容を決めることもできます。

裁判の手続は、すべて被害者である私にもわかるのでしょうか。

裁判員裁判の場合には、裁判が始まる前に、公判前整理手続という、主張や証拠を整理する手続が何度か行われることになりますが、手続は非公開で、被害者がこれに参加することはできません。その都度、検察官に問い合わせる必要があります。

被害者参加についてどう進めてよいのかわからないので、弁護士さんに相談したいと思います。でも、あまり余裕がないので費用が心配です。

資力要件を充たせば、国選で被害者参加弁護士を選任してもらうこともできます。まずは、弁護士に費用がかかるかどうかも含めてご相談下さい。

お財布の入ったバッグを盗まれましたし、怪我もして病院のお金など色々かかりました。これを請求するにはどうしたらよいでしょうか。

あなたは、犯罪被害に遭って、バッグ等を奪われただけでなく、骨折という重たい怪我を負っており、犯人に対して、バッグ等の弁償を求めることができるほか、通院治療費等の実費と慰謝料の請求が可能です。怪我が原因で仕事を休まれているような場合には、休業損害の請求も可能です。起訴されてもなお、犯人がこれらの支払いを申し出てこない場合には、損害賠償命令の申立が可能ですので、弁護士に相談しながら、これらの制度を有効活用してください。

また、全治1か月以上かつ入院3日以上を要する負傷を負ったり、障害が残った場合には、犯罪被害者等給付金の請求が可能です。

8 詐欺事件の被害に遭ったときは

(1) 先日、息子を名乗る者から自宅に電話があり、「17歳の女の子と関係を持ってしまって、逮捕されるかもしれない。すぐに女の子と示談したいから、今から言う女の子の口座にすぐに100万円を振り込んでくれ。」と言われ、大変なことになってしまったと思い、すぐに100万円を振り込みました。その後、連絡が全くないことから、不審に思って息子に電話したところ、電話をしたのは息子ではなく、詐欺被害に遭ったことが分かりました。

私はまずどうしたらよいでしょうか。

まずは、すぐに110番通報して、警察に被害に遭ったことを届け出てください。通常の犯罪被害については、弁護士に依頼しなくても、警察に被害に遭ったことを説明すれば、警察の方で被害届を作成して捜査を開始してくれます。
警察の方で、振込先口座や相手方の電話番号などの情報を元に犯人を割り出していきますので、振込明細や相手方の電話番号等の情報は、決して無くさず、すぐに警察に届けてください。

警察に被害届を出して捜査してもらったところ、犯人が逮捕されたそうです。今後、どうなっていくのでしょうか。

犯人が逮捕された場合には、被害を弁償しなれば、通常は起訴されて裁判にかけられ、刑務所行きとなる可能性もあることから、犯人の弁護士から、被害を弁償したい、示談をお願いしたいとの連絡が入ることがあります。被害弁償を受けたり、示談をすると、犯人は、裁判にかけられずに釈放されることもありますので、慎重な判断が必要です。判断に迷った場合には、弁護士に相談することをお勧めします。

(2) 私は、貴金属類の卸売業を営んでいます。先日、知り合いの社長から紹介された男から、「私は道内各地の展示販売会で貴金属類を売っており、なかなか盛況です。おたくの商品を仕入れたいのですが。」と言われ、合計1000万円相当の商品を卸しました。ところが、支払期日を過ぎても代金が支払われなかったことから、確認のために聞いていた携帯電話場号に電話をしたところ、その番号は既に使われておらず、聞いていた展示販売会場での販売会もなく、詐欺被害に遭ったことが分かりました。

近くの警察署へ行き、相手の男を捕まえてほしいとお願いしましたが、警察からは、相手の男が騙した内容の証拠もないし、商品を相手に渡したことが分かる商品受領証等の証拠がないので、詐欺では立件できない、弁護士に相談して民事でやってもらったらどうか、と言われてしまい、相手の男を捕まえようとしてくれません。どうしたら良いでしょうか。

お尋ねの事案は、詐欺罪が成立する可能性があります。
しかし、警察には、商取引や金銭の貸し借り等の金銭トラブルに関する被害相談が、処理し切れないほどに多数寄せられているため、なかなか刑事事件として被害を受け付けてくれないという実態があります。

詐欺罪は、「最初から騙すつもりはなかった。支払うつもりだったけど、支払えなくなった、ただの債務不履行だ。」との弁解が出やすく、無罪になりやすい犯罪であるため、検察庁も、起訴に慎重であり、刑事手続に載せるハードルが非常に高い犯罪となっています。
そのような場合には、弁護士が、事実経過を書面にまとめたり、証拠を集めたり調査をしたりしてから、警察に改めて相談すると、警察の対応ががらっと変わることもありますので、まずは弁護士にご相談下さい。

それでも対応してもらえない場合もありますか。

それでも捜査が開始されない場合もあります。その場合には正式に刑事告訴するなどの方法を取ることになります。

警察とやりとりをしている間は、お金を返してもらうための手続はできなくなるのでしょうか。

処罰を求めるための刑事手続と、金銭的な被害回復のための民事手続の、どちらかを先にすることもできるし、両方を同時に進めることもできます。
捜査機関とのやりとりで時間がかかる場合や、処罰を求めることが困難である場合は、民事訴訟に切り替えるなどの柔軟な対応が必要になってきますので、弁護士にご相談下さい。

9 業務上横領事件の被害に遭ったときは

 私は、会社の経営者です。会社の経理は、弊社の創業以来、Aに任せていました。 ここ最近、業績が悪化して経営改善を迫られていたので、取締役全員で近年の帳簿を見直すことにしました。すると、数年にわたって約2000万円の使途不明金が計上され、Aが私的流用している疑いが濃厚となりました。合計2000万円にもなります。

これは、どういう犯罪に当たりますか。

このような会社のお金の使い込みは、業務上横領罪という犯罪に該当します。

会社としてはきちんとAを処罰して欲しいのですが、どうすればよいでしょうか。

この段階で警察に相談しても、「まず、会社で、相手が横領したのだと判断できる資料を揃えてください」と言われて対応してもらえないのが通常です。そのため、弁護士に依頼するなどして、まずは伝票、請求書、領収書、預金通帳、金銭出納帳・総勘定元帳等の経理帳簿など、使途不明金の内容を説明できる証拠資料を整理して本人に説明を求め、もし使い見込みの事実を認める場合には、その状況を録音するか、自認する文書を作成して証拠化しておくことが大切です。経理上必要なデータをパソコンで管理している場合には、そのデータを消去されたり持ち出したりされないよう、きちんと保存しておくことも重要です。

被害届を出しておけばよいでしょうか。

処罰して欲しいという意思を明確にするためには、告訴の手続を取るとよいでしょう。上記の証拠資料を添えて告訴をすれば、捜査をしてもらいやすくなります。

告訴した後は、どうなりますか。

通常は、逮捕されて起訴され、刑事裁判が行われることになります。
但し、横領のような経済事犯の場合は、警察(所轄か警察本部の捜査第二課)になかなか告訴を受理してもらえなかったり、受理されても証拠が揃わないという内容で送検されてしまい、検察官が不起訴にしたりすることもあり得ます。進め方については弁護士と相談された方がよいでしょう。

まだ逮捕されていませんが、Aを解雇してもいいでしょうか。

当然に懲戒解雇を検討されると思いますが、十分な調査を経て確実な証拠を確保してから処分を実施しないと、証拠のない不当解雇であるなどとして、逆に損害賠償請求されるケースも出てきていますので、弁護士に適切な判断を仰ぐことが大切です。

Aが逮捕されました。Aは刑務所に行くことになるのでしょうか。

被害額や被害弁償の有無その他個別の事情によって異なります。一般的には、ご質問のように被害額が2000万円にも上るケースで、被害弁償がなされない場合には、刑務所に行くことになる可能性が高いです。被害弁償がなされた場合でも、事情によっては刑務所に行くことになる可能性があります。

Aは逮捕されました。しかし、被害弁償の申し入れはありません。どうすれば回収できるでしょうか。

横領事件の場合は「損害賠償命令」の制度が利用できませんので、民事訴訟を起こして、損害賠償請求することを検討する必要があります。

また、どんどん財産が散逸してしまう可能性もありますので、わかっている資産があるときには「仮差押」という手続を取って、犯人の財産を確保しておく必要があります。早めに弁護士に相談して下さい。

10 傷害事件の被害に遭ったときは

 居酒屋で友達と飲食していたところ、酔っぱらった見知らぬ他の客から突然殴る蹴るの暴行を受けました。店に迷惑を掛けたくなかったことから、警察には連絡せず、相手の男の名刺をもらって帰宅したのですが、数日が経過しても脇腹が痛むので病院に行ったところ、亀裂骨折していることが判明しました。相手の男に治療費を払ってもらおうと思って電話をしたところ、「お前が喧嘩売ってきたんだろ?一切払わないぞ。」などと悪態を付かれ、治療費すら支払ってもらえません。

私はどうしたら良いのでしょうか。

早急に病院で診断書を取得し、お近くの交番か警察署へ被害を届け出てください。

事件の日からすでに1週間経っていますが、大丈夫でしょうか。

本来は、被害の直後に110番通報して被害を届出て、怪我の部位の写真を撮り、診断書と共に警察へ提出した方が良かったと思われます。相手方が、刑事処罰の可能性を避けるために、治療費や慰謝料の支払いを申し出て、示談してほしいと誠実に対応してくることも少なくないからです。

お尋ねのように、不誠実な態度に終始しているのであれば、今からでも警察に届け出て、上記のルートに乗せることを検討しましょう。ただ、被害から日数が経過してしまっていると、目撃者の確保が困難になる等の事情から、警察が被害の届け出を受け付けてくれない場合がありますが、きちんと受け付けてもらって捜査してもらう必要がありますので、そのような場合には、弁護士にご相談ください。

警察に届ければ、相手の男は裁判を受けることになりますか。

傷害の罪では、犯人が初犯者の場合には、示談にならない限りは、通常は略式裁判で罰金刑が言い渡されますが、凶器を用いての犯行だったり、後遺症が残る等の重大な被害結果が生じた場合には、通常の刑事裁判を受ける可能性があります。

治療費は払ってもらえるでしょうか。

犯人に対しては、治療費や通院交通費等の実費のほか、適切な金額の慰謝料の支払いを求めることができますので、どのような内容の請求をして良いのか迷った場合にも、弁護士に相談すると良いです。

11 放火事件の被害に遭ったときは

 元交際相手が、私が住んでいるマンション1階の部屋の玄関先に灯油を撒いて火を付け、現住建造物放火の罪で逮捕されました。私はこの時就寝中で、煙とバチバチという音で目が覚めて、すぐにベランダから逃げましたが、部屋は全焼し、家財も全て消失してしまいました。今は、一時的に実家で暮らしています。

逮捕されてからというものの、何度も警察と検察庁に呼ばれて事情を聴かれていますが、元交際相手の精神状態に問題があって、起訴できないかもしれないと言われています。私は殺されかけたというのに、元交際相手は処罰されないのでしょうか。

現住建造物放火の罪で度々問題になるのが、犯人の責任能力です。 つまり、精神疾患を抱えている等の事情から、善悪の判断が付かなかったり、行動を制御する能力がなかったりすると、責任能力がないとして、刑事処罰できないことになるので、捜査機関では、責任能力の有無を慎重に判断することになります。責任能力がないと判断された場合には、心神喪失者等医療観察法という法律に基づく審判を経て、専門医療機関での入通院が命じられることになります。
責任能力があると判断され、現住建造物放火の罪で起訴された場合には、最低でも5年以上の懲役刑が言い渡されるのが通常で、長期間、刑務所に行くことになります。

なお、現住建造物放火の罪で裁判となる場合には、裁判員裁判となります。

大家さんにも迷惑をかけているし、私の家財も弁償してほしいし、引越代も払ってもらいたいのですが、元交際相手とは関わりを持ちたくありません。

室内の修繕費用については大家さんから、家財等を焼失したことによる損害はあなたから、それぞれ犯人に対して賠償の請求が可能です。
家財保険に加入していれば、損害の一部が保険で填補されますが、保険で賄われない損害については、犯人に請求していくことになります。消失した財産の損害の請求だけではなく、放火されるなどという大変な恐怖を味わったことによる慰謝料と引越し費用の請求をすることも可能です。逮捕された場合には、犯人に支払能力があれば、犯人に就いた弁護士から、これらの費用を支払って示談をしたいとの申し入れがあるかもしれません。
あなたご自身が対応できない、あるいはしたくないという場合は、弁護士に代理を依頼することもできます。

なお、あなたが新しく部屋を借りるのに困難があるときは、公営住宅への入居について特別な配慮をしてもらえる場合があり、自治体によっては、犯罪被害によって余儀なくされた転居の費用や家賃の一部などを補助してくれるところもあります。

犯罪被害者には損害賠償命令という制度があるときいたのですが。

現住建造物放火罪の場合は損害賠償命令制度の利用ができないため、犯人から支払いがなされない場合には、民事訴訟を提起して損害賠償請求することを検討することになります。

事件以来、夜、眠れなくなってしまいました。どこかに相談できますか。

放火の被害者は、精神的ダメージが強いため、カウンセラーや医師などの助言を受けることも大切です。精神的ケアについてはこちらの質問を参照してください。

12 器物損壊事件の被害に遭ったときは

 自宅マンションの駐輪場に停めていた自転車に乗ろうとしたところ、タイヤがパンクしていました。不審に思いながらも、自転車屋で修理してもらったのですが、他の住人数名も同様に、自転車のパンクの被害に遭っていたことが判明しました。

修理費用は800円程度なので、費用をかけて弁護士に頼むのもどうかと思っています。自分で警察に行って動いてもらえるものでしょうか。

すぐに警察に被害を届け出ることをお勧めします。また、マンションには防犯カメラが設置されていることも多いので、管理人に防犯カメラの設置の有無を尋ねて、もし設置されている場合には、その映像を消去することなく保存しておいてもらえるよう依頼してください。被害額が軽微であっても、連続して発生している悪質事案ですから、器物損壊罪として捜査してくれる可能性が高いです。

警察に行って、被害相談をすれば大丈夫でしょうか。

器物損壊罪で捜査してもらうためには、被害を届け出るだけでなく、告訴が必要です。「きちんと処罰して欲しいので告訴します。」と言って下さい。

このような軽微な犯罪でも刑務所に行くことはありますか。

初犯であれば、全く処罰されないか、もしくは罰金刑が見込まれます。罰金だけなら刑務所には行きません。前科があれば刑務所に行く可能性もあります。

犯人が見つかって逮捕されたそうです。犯人の弁護人から示談したいという連絡があったのですが、どうしてよいかわかりません。金額が小さいので、相談料を払って弁護士さんに相談するのもどうかと思うのですが。

札幌弁護士会の犯罪被害者弁護ラインや法律相談センターなど無料相談を利用されてはいかがでしょうか。犯罪被害者弁護ラインについてはこちらの質問を参照してください。

13 名誉毀損事件の被害に遭ったときは

 SNSで自分の悪口が書かれていました。

名誉毀損に当たるでしょうか。

名誉棄損罪が成立するには、不特定又は多数の人に対し、あなたの名誉を傷つけるような具体的事実を知らせることが必要です。

SNSなど、インターネットにおける名誉棄損は近年増加傾向にあり、被害についてのご相談も増えています。

SNS等での名誉棄損の場合、匿名での投稿も多いことから、まずはその投稿を行った人物を特定する必要があります。投稿者の特定のためには裁判手続が必要になることが多く、手続も複雑になっていますので、早めに弁護士にご相談することをお勧めします。

仮に名誉毀損罪が成立するとして、損害賠償については請求できるでしょうか。

名誉毀損は、民法上の不法行為に該当しますので、名誉毀損した相手に対する損害賠償請求が可能です。
また、一度低下した評価を回復するための措置として、相手方に対して謝罪広告を求めるなどの措置を講じることができる場合もあります。

さらに、インターネット上において、名誉を毀損された場合には、かかる名誉を毀損するような情報をそのまま放置したことにより、プロバイダーが賠償責任を負う場合もあります。
詳しくは弁護士にご相談下さい。

14 強制わいせつ事件の被害に遭ったときは

 私は、仕事から帰宅するために一人で夜道を歩いていたところ、自転車に乗った知らない男に、すれ違いざまに突然胸を触られるという被害に遭いました。
男はすぐに逃げてしまったので、行方はわかりません。

すごく腹立たしいので、警察に犯人を捕まえてほしいと思う反面、犯人が捕まったら、私も警察に行って話をしたり、裁判に出たりしなければいけないのかな、と思うと不安で悩んでいます。

犯人が捕まったら、あなたは事件の被害者として、警察で事情を聞かれたり、どのような状況で被害を受けたかを、現場で説明したりすることになります。
裁判には、あなたは出なくていい場合がほとんどですが、犯人が無罪を主張しているときなどには、裁判の場で証言をしなければいけないこともあります。

なんだか大変そうですが、弁護士さんのサポートは受けられますか。

警察で話をしたり、裁判の場に出るということは、とても緊張することですから、不安になるのも当然です。そこで、弁護士が、警察の事情聴取の場に同席して助言したり、裁判に付き添うなど、あなたのサポートをすることができます。泣き寝入りせずに、まずは弁護士に相談して下さい。
また、弁護士が被害届の作成や、犯人に対する慰謝料の請求を行なうこともできます。

15 強制性交等事件(強姦等)の被害に遭ったときは

 先日、知人から強姦されるという被害に遭いました。その犯人は逮捕され、来月裁判が行なわれる予定です。

犯人の弁護人から、本人が、謝罪の気持ちとして、私にいくらかお金を払いたいと言っているという手紙が来ましたが、どうしたらいいかわからず、まだ返事をしていません。相手に言われるままにお金を受け取ってもいいのでしょうか。

刑事裁判の前にあなたが犯人から慰謝料を受け取るということは、犯人の刑罰を決める上で、犯人に有利に働く事情になりますから、裁判の前に慰謝料を受け取るかどうかは、慎重に考えなければいけません。
刑事事件の被害者が、加害者から慰謝料を支払ってもらう方法としては、通常の民事裁判を起こすこともできるほか、強制性交等罪のような重い犯罪の場合には、刑事裁判の判決の後、同じ裁判官が慰謝料についても決定を出してくれる、損害賠償命令という制度もあります。

あなたにとって最善の方法を選ぶために、弁護士に相談することをお勧めします。

検察官から、裁判の場で、裁判官に直接私の気持ちを話すことができる制度があると聞きました。
犯人には厳しい罰を受けてほしいという気持ちを、裁判官に直接伝えたいとは思うのですが、犯人と顔を合わせるのが怖いし、たくさん人が傍聴している中で強姦されたことについて話さなければいけないというのがいやなので、悩んでいます。

裁判の場で被害者の方が気持ちや意見を述べる手続を、被害者参加制度と言います。
この制度を利用する場合、被害者の方と犯人の間にパーテーションを置く「遮蔽措置」や、被害者の方が別の部屋で話すのをビデオで撮影して、同時に法廷で流すという「ビデオリンク」という手続など、被害者の心情に配慮した方法を取ることが可能です。

弁護士があなたの代わりに参加したり、意見を述べたりすることも可能です。

16 ストーカー事件の被害に遭ったときは

 半年前に別れた元カレから、しつこく復縁を迫られて困っています。 一日に何回も復縁を迫るメールや電話がくるので、メールアドレスや電話番号を変え、メールや電話はこなくなったのですが、今度は自宅前で待ち伏せするようになりました。怖いので一人暮らしいていた部屋を引き払って実家に戻ったのですが、実家や勤め先を知られているため、私のいない間に実家の郵便受けに手紙を入れていったり、会社帰りに待ち伏せされたりするようになりました。手紙の内容は、私が逃げたことを責め、復縁しなければ危害を加えるというようなことが書いてあるので、とても怖いです。

実家は持ち家なので引っ越せませんし、転職も難しいです。家族や会社の人に迷惑がかからないかも心配です。どうすればいいのでしょうか。

まず、ストーカー行為等の規制に関する法律(ストーカー規制法)による対処が考えられます。相手方の行為は、「つきまとい等」、「ストーカー行為」に該当すると思われますので、これらの行為について処罰を求めることができます(告訴は不要)。

また、すぐに処罰を求めなくても、警察から警告を出してもらうよう申し出たり、禁止命令を出してもらったりすることも考えられます。
さらに、復縁しないと危害を加えるようなことを告知しているので、刑法上の脅迫罪が成立する可能性もあります。

すぐに警察に相談に行かれた方がよいと思われます。一人で警察に行くのが不安な場合や上記の方法の選択に迷う場合などは、弁護士にご相談ください。

引越費用だけでもかなりお金がかかってしまいました。相手方に請求できますか。

相手方の行為により転居や転職を余儀なくされて費用がかかった、体調を崩して病院に通院することになり治療費がかかった、精神的に苦痛を味わった、というような場合には、相手方に対し、損害賠償等の請求を行うことが考えられます。

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