前の声明へ | 一覧へ戻る | 次の声明へ |
本日、司法修習生に対して給与を国が支給する制度(以下「給費制」という)が廃止され、希望する司法修習生に対して修習期間中の生活費等の修習資金を国が貸与する制度を導入することを内容とする改正裁判所法が施行された。
札幌弁護士会では、北海道弁護士会連合会・日本弁護士連合会及び各地弁護士会と連携し、これまで司法修習生に対する給費制の廃止・貸与制の導入を内容とする改正裁判所法の施行を阻止し給費制を維持すべく、街頭行動を含む署名、広報、マスコミへの働きかけ、議員要請、市民集会の開催など、精力的に活動を行ってきた。給費制維持を求める署名数は、当会に寄せられた署名数は4万3109筆を数え、全国では60万筆を超えている。また、この問題に関しては、与野党を問わず札幌地方裁判所管轄内の全ての国会議員から給費制維持に関する賛同、理解を得られている。
本日施行された改正裁判所法を現在会期中の臨時国会で再改正し、給費制を維持することは可能であり、本年10月26日に行われた参議院法務委員会でも、党派を問わず多くの議員から、給費制の維持を内容とする再改正を求める趣旨の質問(発言)がなされ、桜井財務副大臣や小川法務副大臣からも給費制の維持を内容とする再改正が行われた場合、当然にそれに従う旨の答弁がなされている。
給費制は、司法制度をになう人材を国費で養成することは国の責務であるという考えから、1947(昭和22)年以来、維持されてきた制度である。
私たちは、給費制が、国民の人権を守り、法の支配を貫徹するために不可欠な制度であると確信している。法科大学院生が多くの負債を抱え、また法科大学院生の志願者数が減少している中で、これ以上の経済的負担を司法修習生が課されるということになれば、社会のあらゆる階層・分野から有為・多様な人材を法曹として供給することができず、司法制度の根幹を揺るがす事態となりかねない。
当会は、国会・政府に対し、引き続き、給費制の維持を内容とする裁判所法の再改正を求めるとともに、給費制維持に関する運動を継続することを決意する。
2010年11月1日
札幌弁護士会 会長 房川 樹芳
前の声明へ | 一覧へ戻る | 次の声明へ |
このカテゴリ内のページ