2010年度

　平成２２年１１月４日、秋田弁護士会所属の津谷裕貴弁護士が、自宅で男に襲われ、刃物で腹部などを刺され、搬送先の病院で死亡するという事件が発生した。

　突然の理不尽な暴力により命を奪われた津谷弁護士に対し、心より哀悼の意を捧げるものである。

　事件の動機や原因はまだ不明なところもあるが、被疑者は、津谷弁護士が受任していた離婚事件の相手方であり、また、津谷弁護士に借金の相談をしても解決しなかったことを恨んでいたと供述しているとの報道もあり、津谷弁護士の業務に関連して、津谷弁護士に恨みを抱き、今回の凶行に及んだ可能性が極めて高い。

　本年６月２日にも横浜弁護士会に所属する弁護士が、事件の相手方に法律事務所内で胸部等を刃物で刺され死亡するという事件が発生している。

　今回の犯行も、津谷弁護士の命を奪うことにより、弁護士業務を妨害しようとしたものであるが、弁護士は、社会正義の実現と基本的人権の擁護を使命に業務を遂行しているのであり、その弁護士業務を暴力によって妨害することは、社会正義の実現の妨げる暴挙であると共に、司法制度と法秩序に対する重大な挑戦であり、断じてこれを許してはならない。

　当弁護士会は、このような卑劣な犯行を強く非難すると共に、今後も、弁護士業務に対する暴力行為の対策に一層取り組むこと及びこれに毅然として対応し、弁護士としての使命をまっとうしていく所存である。

2010年11月8日
札幌弁護士会　会長　　房川　樹芳