年間司法試験合格者数の大幅減員への早急な対応を求める申入書
法曹養成制度改革推進会議御中
申入書
2013(平成25)年12月2日
埼玉弁護士会会長 池 本 誠 司
(公印省略)
千葉県弁護士会会長 湯 川 芳 朗
(公印省略)
栃木県弁護士会会長 橋 本 賢 二 郎
(公印省略)
群馬弁護士会会長 小 磯 正 康
(公印省略)
長野県弁護士会会長 諏 訪 雅 顕
(公印省略)
兵庫県弁護士会会長 鈴 木 尉 久
(公印省略)
山口県弁護士会会長 大 田 明 登
(公印省略)
佐賀県弁護士会会長 桑 原 貴 洋
(公印省略)
大分県弁護士会会長 千 野 博 之
(公印省略)
札幌弁護士会会長 中 村 隆
(公印省略)
第1 申入れの趣旨
年間司法試験合格者数の大幅減員への早急な対応を求める。
第2 申入れの理由
- 政府は、法曹養成制度関係閣僚会議の決定において、本年7月16日、法曹養成制度検討会議の取りまとめを受け、今後の法曹人口の在り方について、法曹人口に関する調査を行い、その結果を2年以内に公表するとした。
- しかし、法曹人口は、司法制度改革審議会意見書(2001年6月)において増員が提言されていた裁判官、検察官の増員がもっぱら予算上の理由のみで抑制されたまま、弁護士人口のみが急増している。また、司法修習終了後の一括登録時における未登録者数は、年々増加の一途を辿り、昨年度は546人、今年度はさらにその数を上回る状況である。
その結果、新規登録弁護士の就職難が社会問題化していることは周知の事実である。既存の法律事務所において研鑽(OJT)の機会すらない新人弁護士が急増すると、国民の基本的人権の尊重や社会正義の実現という弁護士の責務を充分に尽くすことができず、その不利益が国民に及ぶおそれを生じさせる。 - しかも、弁護士需要の主たる指針となる裁判所での訴訟件数は、弁護士数が急増しているにも関わらず減少の一途である。このような現状では、新規登録弁護士は、就職難とあいまって研鑽の機会がさらに減少するおそれが大きい。
- さらに、法科大学院入学志望者数の推移にみられるように法曹志望者が激減している実情は、この問題が一刻の猶予も許されない極めて深刻な事態であることを示している。法曹志望者の激減の原因は、法曹資格取得後の就職や開業に十分な見通しを立てることができない司法修習修了者や新規登録弁護士の実情が明らかになっているためである。このような状況が今後も続く限り、将来法曹を担うべき有為な人材がいなくなることになり、司法が機能しなくなる可能性も否定できない。
弁護士人口が既に供給過多に陥っていることは総務省による政策評価(2012年4月)によって明らかにされ、長野県議会(2010年7月)、埼玉県議会(2012年12月)、北海道議会(2013年7月)、静岡県議会(2013年10月)でも需要に見合った司法試験合格者数の減員を求める意見書が採択されている。 - そのような中で今年度の司法試験合格者数も2000人を超えた。この状況を放置し2年間も結論を先送りすることは法曹制度そのものの崩壊を招くことにならざるを得ない。
よって、来年度に向けて直ちに司法試験合格者数の大幅な減員のための方策を具体化することを強く求める。
以上