声明・意見書

―所持品検査開始から2年を迎えて―
裁判所入庁者に対する所持品検査の中止を求める会長声明

  札幌高等裁判所が、2013年(平成25年)3月1日、札幌高等・地方裁判所庁舎(本館・別館の玄関2箇所)において、入庁者に対する所持品検査を開始してから2年が経過した。

 これに対し、当会は、札幌高等裁判所に対し、所持品検査の中止を申し入れるとともに、同年8月7日には会長談話、2014年(平成26年)3月27日には会長声明を公表し、所持品検査の問題点を指摘し、その中止を求めてきた。

 それにもかかわらず、札幌高等裁判所は次年度も引き続き、所持品検査を継続することとなった。

 札幌高等裁判所の行っている所持品検査は、来庁者のプライバシーの制約を伴うものであるにもかかわらずその具体的な目的が十分に明らかにされていないこと、及び、来庁者が所持品検査に同意しなければ裁判所内に立ち入ることができない状況の下で来庁者を含め広く国民を裁判所から遠ざけている点で大きな問題があることは、これまで当会が指摘してきたとおりである。

 これに加えて、この2年間、札幌高等裁判所は、所持品検査を必要とする具体的な理由・事情等について一切公表していない。これでは、札幌高等裁判所が実施している所持品検査が、実施の目的とその手段において適正なものであるかどうか判断することはできない。また、東京と福岡を除き全国の他の裁判所で行っていない状況のなかで、札幌高等裁判所において一般的網羅的な所持品検査を実施することが正当かつ必要であるとする合理的根拠も見出しがたい。

 このような、目的も手段としての適正性も不分明である所持品検査に対し、高額な委託料を支払い続けることは、国費の適正な執行の観点からしても国民の支持が得られないことは明らかである。

 当会は、札幌高等裁判所に対し、改めて、国民に身近で開かれた裁判所の理念に逆行する所持品検査の実施に抗議し、直ちに所持品検査を中止することを求める。

2015(平成27)年3月10日
札幌弁護士会
会長  田村 智幸

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