非弁行為とは
「非弁行為」とは、ザックリと説明すると弁護士資格を持っている者しか行ってはいけないと法律で定められている行為(他人のもめごとに首を突っ込んで報酬を得ることなど)を弁護士資格のない人(または会社)が行うことです。
なんとこれは犯罪です。 非弁行為を行うと処罰されることになります。
弁護士は、弁護士法という法律に厳格な資格要件が定められていて、弁護士職務基本規程などのルールに則って仕事をしており、職務の誠実適正な遂行のため必要な規律に服すべきものとされています。
非弁行為が放置されて社会の中で力の強い者や声の大きい者(ここでは「非弁を行う輩」と呼びましょう)が、お金を得る目的で何のルールにも服さずに色々と他人のもめごとに介入することを許してしまうと、多くの人に不利益が生じます。
本来であれば正当に行使できるはずの権利があったにもかかわらず、非弁を行う輩がそのことを考慮せずに手打ちをさせてしまったことで、権利行使できない状態にしてしまうこともあります。
逆に、権利行使ができないはずなのに、正当な権利行使であるかのように装ったり、非弁を行う輩が強く迫ることによって、泣く泣くお金を支払われてしまうなどの被害者が生まれてしまい、ひいては法律秩序を害することになってしまいます。
弁護士法はそのような状態になることを防ぐために非弁行為を犯罪としています。
非弁行為が禁止されるのは、法律秩序を守るためなのです。
非弁行為になる行為
弁護士法72条で定められている非弁行為は次のとおりです。
- 「報酬」を得る目的で、「法律事件」に関する「法律事務」を取り扱うことを業とすること
- 「報酬」を得る目的で、「法律事件」に関する「法律事務」を「周旋」することを業とすること
「報酬」については、必ずしも金銭に限らず、金銭の代わりに物をもらったり接待されること等も含まれ、額や名称が何であるかを問わないとされています。
「法律事件」とは、法律上の権利義務に争いや疑義がある案件や、新たな権利義務関係が発生する案件(新たな契約など)のことです。
「法律事務」とは、法律相談や代理人としての活動、契約書等の作成などのことです。
「周旋」とは紹介のことです。
非弁行為は法律違反の行為なので、効力のない無効な行為であると裁判で争われたり、逮捕されてしまったりすることもあります。
ある行為が非弁行為に該当するかどうかについては、最終的には裁判所が証拠に基づいて判断することになります。
非弁行為の例外
もっとも、弁護士でなくとも一定の範囲内で法律事件に関する法律事務を行って良いと、法律で例外的に認められている場合があります。
司法書士や行政書士は、法律で例外的に、一定の範囲内の法律事件に関する法律事務を行うことが許されている資格です。
しかし、司法書士や行政書士であっても、法律で例外的に許されている範囲を外れたことをしてしまうと、やはり非弁行為として犯罪となりますのでご注意下さい。
弁護士と司法書士・行政書士との違いについては、次のリンク先の記事で詳しく解説していますので、よろしければご参考にしてください。
非弁行為の調査
札幌弁護士会では、非弁行為が行われたことを覚知した場合、必要に応じて調査し、独自の警告や、警察などの捜査機関への告発などを行っています。
もし非弁行為ではないかと思われることに遭遇しましたら、是非、札幌弁護士会に情報提供をしていただければと思います。
リンク先に情報提供用のフォームを用意していますので、ご利用ください。