令和6年2月に、札幌弁護士会のロゴマークが完成しました!
当会では、札幌で活躍するデザイナーさん5名に作成を依頼し、所属弁護士による投票を経て、デザイナーの岡田善敬さん作成のロゴマークを採用しました。
より多くの皆さまに当会を知っていただき、親しみを持っていただきたいと考えています。
ロゴマークに隠された仕掛けや、岡田さんの想い、そして制作秘話などを伺いましたので、ご覧下さい。
広報室 岡田さんがロゴマークを制作する時に心がけていることはありますか?
岡田善敬 お客さんの想いをカタチにするということを一番に考えています。
広報室 例えば、今回の弁護士会の依頼は、その「想い」をどのような内容だと受け止めたのですか。
岡田善敬 弁護士さんは、ちょっと堅いイメージと言うか、敷居が高いイメージがあるので、様々な方が弁護士や弁護士会に親しみを感じ関心を持ってもらいたいということだと受け止めました。その想いをどうカタチにするかを考えました。
広報室 このプロジェクトに参加した際には、アイデアが天から降ってくるような、インスピレーションが湧いてきた感じはあったのでしょうか。
岡田善敬 そうですね、降ってきたというよりは結構色々なパターンを考えて、その上でどれがベストかというのを選んだ、今回はそんな感じでした。どういう手法で親しみを持ってもらうか、敷居を下げるか、弁護士さんの想いを伝えるか、ということを考えた結果、「味方」、みんなの味方なんだよというキーワードが湧いてきました。弁護士さんを必要とされている方は、やはり不安なんじゃないかなと思ったんですよね。そこで、弁護士さんというのは味方だと発信すること、それを表現できればというのが着想でした。
そのほか、オリジナリティーも重要視していました。そこで、愛称である「札弁」をモチーフにして、その中に「味方」というメッセージをどう落とし込むかということを考え、このロゴマークにたどり着きました。
広報室 オリジナリティーというのは具体的にどういうことですか。
岡田善敬 他にないということですね。ほかの弁護士会さんでも使用できるロゴをつくっても意味がありません。「札弁さん」だからできるもの、という考え方も含めて追求しました。
広報室 「札弁」というロゴは、確かに、他の弁護士会では使用できないですね。ところで、岡田さんは、どのようなプロセスでこのロゴマークのデザインに取り組まれたのですか。
岡田善敬 ひたすら手を動かしてラフスケッチを書きまくりました。家でも、電車に乗っている時や飛行機の中でも書いた記憶がありますね。
広報室 その書いているものが、結局一つのデザインに集約されたわけですが、それはどういう方法でされたのでしょうか。
岡田善敬 今回の場合、ビジュアルは絵ではなく文字なのでその形を追求していました。僕は、「札弁」という文字の中に「味方」という文字を入れることができたら、メッセージとオリジナリティーのあるロゴになるのではないかとイメージしていました。
ただ、その味方だということをロゴマークにどう言わせるか、その気づかせ方、つまり、どうやったら気づいてもらえるのかという点も難しいところであり、ポイントでした。
その結果、コミュニケーションを通じて気づくのがいいんじゃないかなと思ったんですよね。つまり、分かりやすく示すのでもいいのですが、例えば、ロゴマークの入った名刺を交換するときや、ロゴマーク入りのグッズを配布したときに、お客さんに対して実はここに「味方」って書いてあるんですよと、その会話の中から札弁さんの「想い」みたいなものが相手に伝わるのではないかと思いました。そこに期待してこういった仕掛けのあるロゴという方向性を選択しました。
広報室 弁護士の敷居の高さを、そのコミュニケーションによって少しでも低くする効果も期待できるかもれませんね。
岡田善敬 実は最初は、結構オシャレな感じとか、今風の格好いい感じというのも考えていたんです。ただ、やはり今回は、きっとこの「味方」というのがキーワードになるのではないかなというのと、「札弁」という愛称を広めることが親しみやすさにも繋がるのではないかと思ったんです。
広報室 デザインの過程で何か直面した困難とか、苦労はありましたか。
岡田善敬 困難というか、うっかりミス?なんですが、この「札弁」という文字の中に「味方」という文字を入れ込もうとしていたとき、飛行機の中で必死にラフを書いて「できた!」と思ったんですよ。そうしたら、冷静にみると「味方の「味」という字の「口」と「未」を逆に書いてしまっていたんです・・・(※ラフスケッチ参照)。ずっと、図形としてばかり考えていましたので、文字として認識できない頭になっていたんですね・・・きっと。鏡文字って子どもによくあるじゃないですか。それに近いです。できた!と思ったのにできていなくて・・・そこから挽回するのに時間がかかりましたね。
岡田さんのラフスケッチ。当初、「味方」の「口」と「未」を逆に検討していた。
広報室 そこで、なんとか左側に「口」に当たる部分を探し出すことになったのですね。
岡田善敬 そうです、どこで「口」を表現するか・・・パズルのように考え抜いてようやくたどり着きました。ロジックもそうですがデザイン性も大切なので、両方をつめていくのはなかなか大変です。こういうときには、絶対にできると信じることが大事だと思います。
広報室 諦めないこと。我々の仕事と一緒ですね。このロゴマークの色や形を選択する時にはどのような考えでこういうロゴになったのでしょう。
岡田善敬 そうですね、親しみやすさという点からは暖色系を選びがちだと思いますが、爽やかでありながら、清楚というか、凜としているというイメージを持たせて信頼感を表現しようとしました。そこで、ブルーにしてみようかなとまず思ったんですよね。そのうえで、ちょっと、カラフルに。札幌は四季がはっきりしているので、そういうところも意識しました。
広報室 ところで、岡田さんは、ロゴマークが企業や弁護士会などの団体のブランドのイメージを表現するためにはどのような要素が重要だとお考えですか。
岡田善敬 やはり、想いがこもっていることだと思うんですよね。
ロゴマーク単体の力というよりは、その団体や企業の共通したイメージを皆さんに覚えてもらうことが大切です。それだけではなくて、今回のロゴマークでいえば、親しみやすさというメッセージが込められているんだなって、見た人に直感で伝わることが重要だと思います。次のステップで札弁というのが愛称で、さらに札弁は味方だということが表現できれば、想いが伝わりますよね。そういった想いをデザインでいかにカタチにするかということを大事にしています。なにより想いが込もっていると愛されるロゴマークになると思います。お客様にも、お客様のお客様にも愛されるロゴマーク。そういうロゴをつくることを常に目指して取り組んでいます。
広報室 今回のロゴマークデザインのプロセス全体の中で、何が一番楽しかったでしょうか。あるいは印象に残りましたか。
岡田善敬 僕は実はですね、デザインをしている時よりも、そのデザインを提案する時が一番楽しいタイプなんです。あがり症なので嫌ではありますが、一番好きでもあります。今回は対面でのプレゼンテーションの機会はありませんでしたが、普段提案するような流れで想いが伝わるように企画書を構成しました。
広報室 今回のデザインが当会のロゴマークに決定された後、岡田さんには、何か周りからコメントや反応はありましたか。
岡田善敬 実は札幌弁護士会さんのロゴマークが制定されたという記事が新聞に掲載されたので、色々メッセージを頂きましたし、しばらくお会いしてないお客さんからロゴマーク制作の依頼をいただきました(笑)。
広報室 完成したこの最終的なロゴマークについては、デザイナーご本人としては満足されていますか。
岡田善敬 そうですね、デザインというのは正解がありません。見た人によっては色々感じることも違いますし、どういう形が美しいというのも違います。ただ、自分自身では、「味方」というメッセージを発信するにはベストだと思っています。このデザインを提案したときから、実は、何となくいけるんじゃないかと感じていました。
広報室 すごい!自信があったんですね。
岡田善敬 そうですね・・・少しだけありました(笑)。募集要項を何度も読んで、弁護士会さんの「想い」がすごく伝わっていたので。最終的にこのデザインに決まったと連絡を受けたときには、本当に嬉しかったです。
岡田善敬
1974年、北海道帯広生まれ。
1995年、専門学校 札幌デザイナー学院卒業。
同年、札幌大同印刷株式会社 入社。現在に至る。
アイデアとユーモアを忘れず、 人の心を動かすデザインを目指す。
主な受賞歴に 札幌ADCグランプリ( ’08年、’12年、’15年、’18年)、 札幌ADC2009準グランプリ、 JAGDA新人賞2009、 東京ADC賞( ’08年、’13年)他多数。
主な著書に 「オバケ!ホント?」(福音館書店)、 「恐竜 骨ぬりえ」(KADOKAWA)、共著として 「NHKノージーのひらめき工房 ノージーのひまつぶしブック」がある。
■ポートフォリオ(作品例)