死刑執行に関する会長声明
2013年12月12日、東京拘置所及び大阪拘置所において、各1名、合計2名に対して死刑の執行が行われた。谷垣禎一法務大臣による4度目の死刑執行であり、本年2月21日の3名、4月26日の2名、9月12日の1名に続く死刑の執行により、現政権下で合計8名に対する死刑が執行されたことになる。
当会は、死刑制度の廃止について国民的議論が尽くされるまで死刑の執行を停止することを求める声明をこれまで繰り返して発してきたが、公の議論が何らなされないまま、こうした頻度で死刑執行が継続されていることは、極めて遺憾な事態であり、強く抗議する。
裁判員裁判では、裁判員は死刑を含む量刑判断に参加し、現に極めて困難な判断を求められている状況のもと、もはや死刑制度の是非について、国民的議論を回避し続けることは許されない。死刑制度に関する情報の公開と議論の開始は、喫緊の課題である。
政府は、政府の世論調査の結果、国民の8割以上が死刑制度を支持しているとするが、日本弁護士連合会は、「死刑制度に関する政府の世論調査に対する意見書」(2013年11月22日)において、政府の世論調査の主質問には死刑存置側に誘導するような選択肢が用いられており、政府は死刑制度支持者の割合を過大に評価していることなどを指摘し、同意見書を総理大臣及び法務大臣に提出して、再度、全社会的議論を呼びかけたばかりである。
その直後に、谷垣法務大臣は、日本弁護士連合会や当会等の再三にわたる要請を無視して死刑を執行したのであり、到底容認できるものではない。
当会は、今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、あらためて死刑の執行を停止し、死刑制度全般に関する情報を広く国民に公開し、死刑制度の廃止について全社会的な議論を直ちに開始することを求めるものである。
2013(平成25)年12月24日
札幌弁護士会会長 中村 隆