死刑執行に関する会長声明
2018年(平成30年)7月26日、東京、名古屋及び仙台の各拘置所・拘置支所において計6名の死刑が執行されました。死刑が執行された6名のうち、4名は再審請求中でした。
本年7月6日に、7名に対して死刑を執行したばかりであり、今回の死刑執行によって、第2次安倍内閣以降、死刑が執行されたのは14回目、合計34名に対して死刑が執行されたことになります。
死刑は生命を奪う刑罰であり、誤判の場合、事後的な回復が不可能であること、近時の袴田事件再審開始決定が、誤判・えん罪の危険が現実のものであって誤った死刑執行のおそれが否定できないことを改めて明らかにしたこと、国際連合の自由権規約委員会が、日本の第6回定期報告に対する最終見解(2014年7月23日採択)において、死刑判決に対する必要的な上訴制度がないことや再審請求に死刑の執行停止効がないことなど、日本の死刑制度には国際人権基準の観点から問題があると指摘したこと、等の問題点は、本年7月6日付の当会会長声明においても指摘したとおりです。
しかも、本年7月6日に、死刑が執行された7名のうちの6名、本日死刑が執行された6名のうち4名は再審請求中でした。この点も、国際人権基準から見て、極めて大きな問題のある死刑執行です。
国際社会においては、死刑廃止に向かうのが潮流であって、世界の3分の2以上の国において死刑の執行がなされていません。本年7月6日の死刑執行に対しては、駐日欧州連合(EU)代表部及びEU加盟国の駐日大使並びにアイスランド、ノルウェー、スイスの各駐日大使から、死刑廃止を視野に入れた死刑執行停止の導入を求める共同声明が発表されています。
その様な中で、今回の6名に対する死刑執行を含め、わずか3週間に13名もの死刑を執行するという事態は、死刑廃止に向かう世界的な潮流に真っ向から反するものです。
今回の死刑執行は、死刑制度を含む刑罰制度全体の抜本的見直しを求め、2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきであるとした、日本弁護士連合会第59回人権擁護大会(2016年(平成28年)10月7日開催)における「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を、全く理解せず無視するものであって、遺憾の極みといわざるを得ません。
当会は、政府に対し、直ちに死刑の執行を停止し、2020年までに死刑制度を廃止することを重ねて求め、今回の死刑執行に対し強く抗議します。
2018年(平成30年)7月26日
札幌弁護士会
会長 八木 宏樹