トランスジェンダーの弁護士に対する殺害予告に対して抗議し、 全ての性的マイノリティの人々に対する差別根絶を求める会長声明
2023(令和5)年6月30日
札幌弁護士会
会長 清水 智
本年6月3日未明から6月5日未明にかけて、大阪弁護士会所属の弁護士の事務所に、ホームページのメールフォームを通じて、「男のクセに女のフリをしているオカマ野郎」「メッタ刺しにして殺害する」などと書いた殺害予告のメッセージが断続的に送られてくるという事件が発生した。
当該弁護士は、自らがトランスジェンダー当事者であることを公表して業務を行っているところ、これらのメッセージは、当該弁護士に対する脅迫であり、犯罪行為であるとともに、弁護士への業務妨害行為であって、見過ごすことができないのはもちろんのこと、当該弁護士のみならず、トランスジェンダー当事者へのヘイトクライム(偏見に基づく犯罪)でもあり、許してはならない。
当会は、昨年、「札幌弁護士会 第一次男女共同参画・性の多様性尊重推進基本計画 ~誰もが自分らしく活躍できる弁護士会であるために~」を策定した。その中で、男女共同参画と性の多様性を尊重する社会を積極的に推進する立場から、現在の性の多様性への偏見に端を発する問題を是正すべく、当会が社会の先頭に立ち、かかる社会の実現に向けて、積極的な活動を進める必要があることを宣言している。
当会としては、このような業務妨害と差別的発言が繰り返されないよう、上記脅迫行為については捜査機関において徹底した捜査を行うことを求めるとともに、トランスジェンダー当事者を含む全ての性的マイノリティの人々への差別・偏見をなくすための活動に今後とも力を尽くす所存である。