声明・意見書

札幌弁護士会法律相談センター開設50周年を迎えての会長談話 ~全ての市民へより身近で充実した法律サービスを~

 当会の法律相談センターは、本年7月15日をもって50周年を迎えます。
 法律相談センターは、弁護士及び弁護士会が地域住民の方々に果たすべき社会的役割として、市民の法的ニーズに応えるべく、昭和49年7月15日に設立されました。
 設立当初は、札幌弁護士会内に設置した本部における面談相談のみでしたが、より多くの方々に広く法的サービスを届けるため、平成7年には無料電話相談窓口である「ハロー弁護士相談」を開設しました。
 平成11年から19年にかけては、中空知(滝川)、南空知(岩見沢)、後志、日高、小樽、室蘭、苫小牧にも相談センターを立ち上げ、より地域に密着して、法的ニーズに応えるべく、活動を進めてまいりました。また、常設の相談センターを設置することが困難な地域においても法律相談を受けられる環境を整えるため、平成23年からは、弁護士が少ない地域における巡回型法律相談事業も行っています。
 札幌市内においても、中央区の本部のみならず、新さっぽろにも相談センターを設けて、市民の皆さまがよりアクセスしやすく、利用しやすいよう、法律相談窓口を広げてまいりました。
 このような地域アクセスの拡大のみならず、相談分野についても、平成16年以降、一般相談窓口の他に、多重債務相談、離婚相談、相続・遺言相談、雇用トラブル相談というように、市民の皆さまが直面する法的問題に対してより直結した相談が可能となるよう、分野別の相談窓口の設置を進めました。また、さらに広く法的ニーズに応えるため、平成17年には「特定分野別弁護士紹介制度」を開設しました。この紹介制度は、現在では、①労働事件(使用者側)、②医療事故(患者側)、③金融商品(消費者側)、④悪徳商法、⑤知的財産権、⑥欠陥住宅、⑦税務問題、⑧行政事件、⑨犯罪被害者問題、⑩DV事件及びストーカー事件、⑪外国人の事件、⑫外国企業との取引、⑬民事信託という全13分野を設置し、特定分野に特化した助言が受けられる相談体制としております。
 さらに、平成25年10月1日からは、全ての分野の法律相談について、相談料の全面無料化を実施し、現在も継続しています。これは、当時、全国各地の弁護士会においても類を見ない取組みであり、現在も、当会以外で相談料の全面無料化を実施している弁護士会は、ありません。
 相談料の全面無料化を実施したことにより、利用者数は増加しています。これは、経済的問題が障壁となって法律相談を受けられなかった方々に対しても、法的サービスを提供することができる機会が増大したことの表れと実感しております。
 近時は、新札幌のショッピングセンター内等で、年に数回、「まちかどクイック無料法律相談会」として予約不要の無料相談会も開催しています。こちらも、毎回、多数の方にご利用いただいており、市民の皆さまにとって、弁護士が必要とされており、気軽に相談できる環境づくりが大切であると実感しているところです。
 このように、法律相談センター開設から50年の時を経るなかで、生活や企業活動の社会経済的基盤は大きく変化してきたことに対応し、当会の法律相談センターも、地域アクセスや相談分野の拡大に努めてまいりました。
 当会は、札幌弁護士会法律相談センター開設50周年の節目を迎えるにあたり、弁護士及び弁護士会が地域住民の方々に対して果たすべき社会的役割を再認識するとともに、法律相談センターが、地域住民の方々と弁護士とを結び、相互の信頼関係を培うものとなるべく、今後も、より身近で充実した法的サービスを提供し、発展させていきたいと考えています。

   2024年7月8日
                   札幌弁護士会
                      会長  松田 竜

その他のページ