声明・意見書

司法試験合格者を早急に減員することを求める会長声明

 本年9月11日,2013(平成25)年度司法試験の最終合格者数が2,049人であると発表された。司法試験の最終合格者数は,本年度は昨年度に比べ53人減少したとはいえ,2007(平成19)年度以降,毎年度2,000人を超えている。また,司法試験合格者のうち,裁判官・検察官になる者の数はほとんど増えておらず,大多数が弁護士になる結果,弁護士人口は,2007(平成19)年では23,119人であったものが,本年10月1日現在では33,563人になっており,その増加のペースは,あまりにも急激である。

 当会は,2011(平成23)年11月29日開催の臨時総会において,弁護士人口の急増が,現状の法的需要を上回るものであり,また,司法修習生の就職難や弁護士としてのOJT(on the job training)不足により,法律実務家として必要な技能や倫理を十分に会得していない弁護士が社会に大量に送り出されるおそれなど様々な弊害を生じさせている現状を指摘した上,政府に対し,年間1,000人程度を目標に司法試験合格者数を段階的に減少させ,その実施状況等を検証しつつ,さらに適正な合格者数を検討することを求める決議を採択した。

 当会が指摘した現状は,その後,総務省が発表した2012(平成24)年4月20日付け「法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価書」において,現状では2,000人規模の増員ペース(年間合格者数)を吸収する需要は顕在化しておらず,現在の需要規模と増員ペースの下,弁護士の供給過多となっていると指摘されている。また,法務省が設置した法曹養成制度検討会議が2013(平成25)年6月26日に発表した「取りまとめ」においても,年間合格者数を3,000人程度とすることを目指すべきとの数値目標を掲げることは現実性を欠くとの評価がなされている。

 然るに,この度発表された司法試験合格者数は,当会の決議のみならず,関係各省の評価を無視し,弁護士人口の急増に伴うさまざまな弊害を増大させるものであり,極めて遺憾である。

 当会は,政府に対し,次年度以降の司法試験合格者数につき,年間1,000人程度を目標に早急に減少させるよう強く求める。

2013年10月15日
札幌弁護士会会長 中村 隆

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