給費制廃止違憲訴訟提起に当たっての会長談話
- 本日、札幌地方裁判所に、貸与制(無給制)の下での66期司法修習を経た新人弁護士11名が、「給費制廃止違憲訴訟」を提起した。
同訴訟は、現在及び将来にわたって司法が市民の権利を守るという役目を全うすることができるようにするとともに、司法を担う人材を養成し続ける責務が国家にあることを明らかにすることをも目的としているとのことである。 - そもそも、給費制は、「司法制度の最終的な受益者はその利用者である国民であり、国にはかかる制度を担う人的インフラである弁護士や裁判官、検察官になろうとする司法修習生を養成する責務がある」との考え方を前提としており、単に司法修習生の個人的な経済的便益を与えることを意図した制度ではない。
当会としても、給費制の廃止により、わが国の司法を支える法曹の基盤を脆弱化させ、ひいては市民の権利保障を後退させてしまうことに従前から強い危惧を抱いている。 - 当会は、上記のような立場から、これまで一貫して司法修習生に対する給費制の維持・存続ないし復活を求め、繰り返し貸与制(無給制)に反対する会長声明を発出してきた。また、当会は、4度にわたり市民集会を開催して給費制の必要性について広く市民に訴えかけたほか、国会議員や地方議会議員に対しても給費制の維持等に理解を求める要請活動を繰り返してきた。
- 今般の「給費制廃止違憲訴訟」は、上記のような当会のこれまでの主張、及び取り組みと同様に、あるべき司法制度ないし権利保障制度を考えて提訴されたものと理解している。同訴訟におけるこのような姿勢には、当会としても共感を覚えるところである。
- よって、当会としては、給費制の重要性への理解がさらに広く社会に浸透することを期待しつつ、今後も同訴訟の推移を注視していく。
2014(平成26)年10月22日
札幌弁護士会
会長 田村 智幸