当会会員多数に対する大量の「懲戒請求」についての会長談話
今般,日本弁護士連合会が意見表明をしたことを理由として,特定の団体が,当会所属の多数の弁護士に対して懲戒を求める書面をとりまとめ,当会に送付してきました。
懲戒制度は,個々の弁護士会員の「品位を失うべき非行」(弁護士法第56条1項)を対象とし,これがあったと認められる場合に所定の処分を科すものです。上記各文書は,「懲戒請求」と称してはいるものの,実質的には,弁護士会の活動に対する反対意見の表明であること,当会の意見表明が個々の会員の非行となるものではないこと,等から,弁護士法所定の懲戒請求として扱うのは相当でないとの結論に至りました。
そこで,当会は,上記各文書を懲戒請求としては受理しないことといたしました。
弁護士懲戒制度は,国民の基本的人権を擁護し,社会正義を実現する弁護士の職責に鑑み,法が弁護士会に与えた弁護士自治の根幹であり,適正に行使・運用されなければなりません。今回の大量「懲戒請求」は,本来の懲戒制度の趣旨に沿ったものとは言えず,極めて残念なことです。
当会は,改めて,弁護士自治の重要性を認識し,懲戒制度の適正な行使・運用に努め,弁護士・弁護士会への信頼の維持を図る所存であることを表明いたします。市民の皆様には,弁護士会の活動にご理解を賜りたく,お願い申し上げます。
2018年(平成30年)3月6日
札幌弁護士会
会長 大川 哲也