平成30年北海道胆振東部地震に関する義援金を差押禁止とする措置を求める会長声明
- 2018(平成30)年9月6日に発生した、平成30年北海道胆振東部地震(以下「北海道胆振東部地震」という)に際しては、厚真町で道内観測史上最大の震度7、安平町とむかわ町で震度6強など、広範囲で大きな揺れを観測するとともに、各地で大規模な土砂災害や家屋の倒壊などの甚大な被害が生じ、現在も多くの被災者が避難生活を余儀なくされている。
北海道は、9月21日までに集まった義援金について、第1次配分として被災市町に対して配分することを決定しており、今後、被災市町から被災者又はその遺族(以下「被災者等」という。)に対して義援金が交付されることになる。義援金は、被災者等の生活再建を支援するためのものであり、被災者の債権者が債権満足の原資として期待すべきものではない。従って、被災者等に交付される義援金は、一律に差押禁止財産とすべきである。 - また、北海道胆振東部地震による住家の被害は、10月9日時点で全壊・半壊・一部損壊合わせて9000件を超えており、多くの被災者が住宅ローン等の債務への対処を必要としている。かかる債務への対処については、2015(平成27)年12月に策定された「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」に基づく住宅ローン等の債務整理制度(以下「被災ローン減免制度」という。)を利用することにより、最大500万円の現預金、最大250万円の家財地震保険金及び被災者生活再建支援金などの差押禁止財産を手元に残すことができるところ、北海道胆振東部地震の被災者等に交付される義援金についても、これを差押禁止財産とすることにより、被災ローン減免制度の利用が促されるとともに、被災者の生活再建への後押しになると考えられる。
- よって、当会は、国に対し、被災者等の生活再建のため、平成二十八年熊本地震災害関連義援金に係る差押禁止等に関する法律(平成28年法律第67号)と同様、北海道胆振東部地震の被災者等に交付される義援金を差押禁止にする法律を制定することを求める。
2018年(平成30年)10月12日
札幌弁護士会
会長 八木 宏樹