オスプレイを利用した訓練の中止を求める会長談話
２０２２（令和４年）９月２６日
札幌弁護士会
会長 佐藤 昭彦
２０２２（令和４）年９月２日、防衛省は、同年１０月１日から同月１４日まで実施される日米共同訓練の概要を発表した。発表によれば、米軍普天間飛行場（沖縄県）から米海兵隊の輸送機ＭＶ２２オスプレイ６機が参加し、訓練の拠点となる陸上自衛隊丘珠駐屯地（札幌市東区所在）など道内計５ヵ所を使用して演習を実施するものとされており、オスプレイが道内の広い範囲を飛行することとなる。
オスプレイは、開発段階から重大事故を繰り返し、２０１６（平成２８）年１２月１３日には、普天間飛行場に配備されたオスプレイが沖縄県名護市沿岸で墜落事故を起こすなど、世界中で深刻な事故やトラブルが相次いで生じている。また、直近でも、本年８月１６日には、米空軍は、オスプレイ（ＣＶ２２）で事故が頻発しているとして地上待機措置をとった。同措置は９月２日に解除されたが、オスプレイの安全上の懸念は依然として払拭されていない。
当会は、オスプレイが２０１２（平成２４）年１０月に普天間基地に配備された後、２０１３（平成２５）年３月２９日に「オスプレイの配備中止を求める会長声明」を発表した。
その後もオスプレイの安全性への不安が解消されることのないまま北海道内の演習場でオスプレイを使用した演習が実施されたことから、北海道弁護士会連合会は、２０１９（令和元）年１２月１６日に「米海兵隊の垂直離着陸輸送機オスプレイが参加する、北海道内の自衛隊基地を使用した日米共同訓練の実施に反対する理事長声明」を発表するなどしてきた。
今回の防衛省の発表は、実施直前にその訓練内容を一方的に通告し、駐屯地周辺の住民の意向を全く顧みないものであって、住民の権利利益を軽視したものといわざるを得ない。
陸上自衛隊丘珠駐屯地は、札幌市東区の住宅街の中にあり、仮に訓練中にオスプレイの墜落事故が生じた場合、付近住民の生命・身体に取り返しのつかない犠牲を与える危険性がある。
そのため、当会は、住宅地周辺を含む広域において、危険なオスプレイを使用した訓練の実施を決定した防衛省に抗議し、速やかに訓練を中止するよう求めるものである。
以上
