交通事故ストーリー その4

示談交渉が折り合わず裁判に発展。救いは「弁護士費用保障特約」

いつもと変わらない帰り道でした。
住宅街から少し離れた郊外の一軒家。夜になると辺りが暗く、近くにスーパーがないことが不満ですが、家族で暮らせる一軒家を建てることは昔からの夢でした。
その日は疲れていて、早くシャワーを浴びたい気分でした。いつもより急いでいたかもしれません。
次の角を曲がれば家の明かりが見える、そう思って信号のない交差点にさしかかった瞬間、ものすごい音と衝撃が襲いました。交差点の左側から出てきた右折車が、私の運転する自動車に衝突したのです。ぶつかるまで全く気づきませんでした。
幸いケガはなかったのですが、5年間使用した愛車は、見るも無惨な姿になっていました。

相手の車両が出てきた道には一時停止の標識がありましたから、相手が100パーセント悪いと思っていました。また、新車に買い替える費用も相手が負担するのが当然です。
私が相手の保険会社の担当者にそう伝えると、担当者は「過失割合は7対3ですね」「経済的全損ですので、修理費も買替費用もお支払いできません。」と言ってきました。驚いた私は、何度も食い下がりました。しかし、保険会社は聞き入れてくれず、最後には相手が頼んだ弁護士が債務不存在確認訴訟という裁判まで起こしてきたのです。

困った私は、電話帳で見つけた弁護士会の相談センターに行き、弁護士に相談することにしまた。住宅ローンの支払いがきつく、高額だと聞く弁護士費用を払える見込みはなかったのですが、とりあえず相談だけでもしてみようと思ったのです。
すると、相談した弁護士から、「あなたの保険に、弁護士費用補償特約はついていませんか」と尋ねられました。何のことかよくわからなかったので、私が入っている自動車保険の保険証券を見せると、弁護士が言っている特約に加入していることがわかりました。この特約は、一定額まで弁護士費用や訴訟費用を賄ってくれるというものだそうです。

弁護士費用の心配がなくなった私は、安心して弁護士に依頼することしました。
裁判には弁護士が出てくれるということで、仕事を休んで裁判に行かなければならないと思っていた不安も解消されました。
それから数ヶ月後、弁護士から「裁判上の和解で解決しませんか」という打診を受けました。その和解内容というのは、愛車の事故当時の現在価値を50万円とした上で、過失割合を9対1とし、45万円を相手が私に支払うというものでした。

私は、その和解では納得できないということを弁護士に伝えました。すると、弁護士は、過去の裁判例や図を見せて、買替費用の請求は難しいことや、過失割合の考え方について、時間をかけて丁寧に説明してくれました。
今まで知らなかった裁判の考え方に納得できない部分は少し残りましたが、確かに私にも不注意な点がありましたので、その和解案というのは私にとって有利なものであることは理解できました。そこで、最終的にはその和解案に応じることにしたのです。

和解が成立した日の3週間後、約束の和解金が支払われました。弁護士報酬も全額保険から出るそうです。
いつもと変わらない帰り道、いつもよりスピードを落として運転するようになりました。

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