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声明・意見書2008年度

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イラクからの自衛隊撤収に関する会長声明

 本年11月28日,政府は,イラクからの航空自衛隊の撤収を正式に決定し,防衛大臣が撤収命令を下した。これにより,2003年12月から約5年間に及ぶ自衛隊のイラク派遣に終止符が打たれることになった。

 当会は,自衛隊のイラク派遣に当初から反対し,派遣の延長及び再延長にも反対する会長声明を発してきた。これら一連の声明は,イラク特措法が,武力による威嚇,武力の行使を禁じた憲法第9条に違反するおそれがあること,イラクの治安実態がイラク特措法の定める派遣先の「非戦闘地域」の要件を満たしていないこと,を理由としたものであった。

 イラクへの自衛隊派遣については,札幌地裁(いわゆる箕輪訴訟)を皮切りに,全国11地裁で派遣差止訴訟が係属し,本年4月17日には名古屋高等裁判所が違憲判決を出した。同判決は,憲法第9条についての政府解釈を前提として,1.バグダッドを「戦闘地域」と認定し,2.2006年7月以降に開始された航空自衛隊のバグダッドへの多国籍軍兵士の輸送活動が「武力行使」に該当するとし,3.イラク特措法を合憲的に解釈したとしてもなお自衛隊の活動は憲法第9条第1項に違反する,としたものだった。

 同判決は,日本国憲法が定める戦争放棄(第9条)と国民の平和のうちに生きる権利(前文)の存在意義を改めて確認するものであった。本年4月18日には,日本弁護士連合会が同判決を高く評価し,「判決の趣旨を十分に考慮して自衛隊のイラクへの派遣を直ちに中止し,全面撤退を行なうことを強く求める」とする会長声明を発した。

 今回の政府決定については,日本弁護士連合会及び当会がかねてから主張していたことが実現されたものと考える。当会は,これからも日本国憲法の平和主義の精神を実現し,法の支配をより徹底するための活動に積極的に取り組むことを表明する。

2008年12月12日

札幌弁護士会 会長 三木正俊

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