札幌弁護士会人権賞10周年記念交流会
日時:2014(平成26年)年2月24日(月)
場所:東京ドームホテル札幌 ピアリッジホール
山崎氏
人権賞受賞時は、駆け込みシェルター運営委員会という名前で活動しておりましたが、現在はNPO法人女のスペース・おんという名前で活動しています。私たちの活動は、1993年に女性の人権事務所として始まりました。シェルターについては、1997年に、手弁当でアパートを借りて始めました。現在は、DV被害者の相談、緊急一時保護、そして自立支援を中心として活動しており、中学生や高校生に対するDVの啓発教育にも積極的に取り組んでいます。
○間宮氏(北海道子どもの虐待防止協会、以下「虐待防止」)私たちの団体は1996年に立ち上がりました。前代表の中川氏は大学教授・弁護士として子どもの人権問題に熱心に取り組んでいました。2005年9月、札幌で第11回日本子ども虐待防止学会北海道大会が開催され、私たちの団体がその一翼を担いました。そして、翌2006年に人権賞をいただくことができました。
子どもの虐待は、ちっとも減っておりません。世代間で虐待が伝達しないような社会的装置を作ったり、加害者、親に対してアプローチする効果的な方法について現在模索しております。また、団体の活動を担う人の世代交代の問題にも直面しています。そのあたりについても皆さんのお話をお聞きしたいと思っています。
子どもの虐待防止協会としては、虐待を防止するというプラクティスだけでなく、子どもの人権を守る活動にも力を注ぎたいと考えています。
○遠藤氏(札幌遠友塾自主夜間中学、以下「遠友塾」)遠藤氏
私たちは、戦中、戦後の混乱時に学ぶ機会を得られず、文字を読めずに縮こまって生活している方々に学習の機会を提供することを目的として、1990年に活動を開始しました。「学びたい人が、生きることのあかしと喜びを見出せる場、仲間とともに楽しく学べる場」を設けることを目標としています。現在は、中学校の校舎を借りて、中学3学年の各クラスと「じっくりクラス」という一斉授業にはなじめない方たちのための個別授業を週に1回実施しています。
全てボランティアで成り立っていますので、希望はあるのですが、これ以上授業内容や頻度を増やすことは難しい状況です。
現在は札幌、函館、旭川、釧路で実施していますが、もっと道内に広げて行ければと思っています。また、若い方や障がいを持った方の参加も増えてきています。様々な要望に応えるため、各方面に働きかけて条件整備を進めていきたいと考えています。
○平中氏(北海道はまなすの里、以下「はまなす」)平中氏・木村氏
私たちの団体は、2002年6月に発足しました。「はまなすの里」という名称は、北海道の花であるはまなすに、「ふるさとを失った人と友人になろう」という意味も含めて、里という名前を入れて付けました。私たちは、ハンセン病(昔のらい病)の問題に取り組んでいます。日本では、「らい予防法」という法律が明治42年に作られ、らい病者の強制隔離措置が取られましたが、日本の中では、らい病に対する差別、偏見が今もなお続いています。療養所に暮らす患者さんたちは今でも自分のふるさとに戻ることができていません。たとえば、患者さんの家族が結婚する際、「らい菌」を持った人が家族の中にいたということを言わないまま結婚することがあるため、「今さら帰って来られたら困る」と言われたり、ひどいケースでは、遺骨も自分のふるさとには受け入れられないというような状況が今日も続いているのです。
○門脇氏(小樽人権擁護委員協議会人権教室部会、以下「小樽人権」)弁護士会の中にも人権擁護委員があるようですが、私どもは市町村からの推薦で選ばれて、法務局のかかわりの中で仕事をしています。私たちは2002年に人権教室という出前講座を始めましたが、当時は、人権にかかわる出前講座というものはほとんど存在せず、お手本も何もない状態でした。ただ、私たちの中に、人権意識こそ小さいうちからきちんと身につけさせなくてはいけないのではないかという思いがあり、まずは、幼児あるいは小学校低学年向けの出前講座を作りました。それから5年、がむしゃらに活動してきましたが、このままでよいのかという疑問が出てきたときに人権賞のことを知り、応募しました。人権擁護の専門家である弁護士の方々に審判を仰ぎたかったのです。そして、2009年に人権賞をいただいたわけです。大変うれしく思うとともに、10名の部員が、受賞をきっかけに、「心一つにまた頑張ろう。いただいた賞に恥じない仕事をしなくてはね。」と、口に出して頑張ることができました。受賞の翌年から、出前講座の要請数がとても増えました。
今では、幼児から中学生までだけでなく、職場のセクハラ・パワハラ、高齢者虐待問題など、大人版の出前講座も用意して各地に出向いています。
○芦田氏(特定非営利活動法人エスニコ、以下「エスニコ」)私たちは、外国人の医療を支援する団体です。同時に、楽しい文化交流をしようということで、クッキングや地域の人たちと外国人との交流、文化紹介などをしています。外国人と人権の問題というとピンと来ない人も多いのですが、病院には必ず外国人の方がいますし、虐待の問題でもDVの問題でも、色々なところで必ず外国人が顔を見せるという時代になってきています。私たちも自分たちの活動だけでなく、皆様の活動と結びつけて、何かあったときには、お互いに連絡をとって、例えば中国の文化のことを少しでも知っていれば、何か活動がしやすくなるとか、そのような協力がお互いにできたらいいなと思っています。
○芦澤氏(特定非営利活動法人北海道ダルク、以下「ダルク」)本業は、北大病院で精神科の院長をしています。ダルクは、薬物依存症の人たちが中心になっている治療共同体です。海外には様々な治療共同体がありますが、日本ではダルクが唯一で、全国に約70か所あるといわれています。NA(ナルコティクスアノニマス)という世界的な薬物依存の自助グループが採用する12ステップの方式を用いて、ミーティングに参加しながら、共同生活をして、薬物をやめていくという活動をしています。また、中学校や高校などに講演活動に行ったり、刑務所で受刑者に対して話をしたり、刑務所から出てきた人を引き受けるといった活動もしています。
○杉澤氏(三角山放送局、以下「三角山」)私たちは、コミュニティFMを札幌市西区に開局して16年目を迎えました。三角山放送局では、開局のときに、ルールを三つ作りました。伝えたいことがある人がマイクの前に座るということ、社会的弱者の方や少数派の方々の意見を切り捨てずに、むしろ積極的に発信して行くということ、そして、放送で嘘はつかないということです。私たちは、4年前から、札幌刑務所の受刑者の方のお手紙のリクエストをかけるという珍しい番組(札幌苗穂ラジオステーション)を制作しています。私たちとしては、再犯・累犯を少しでも減らし、そして、受刑者が社会に出てやり直したいと思ったときに少しでも力になってあげられるような、そんな地域社会のための苗穂ラジオステーションを続けていきたいと思っています。
○司会皆様、どうもありがとうございました。
本日御欠席の浦河べてるの家と特定非営利活動法人自立支援事業所ベトサダの紹介をさせていただきます。
第2回受賞の浦河べてるの家は、1984年に設立された北海道浦河町にある精神障がいなどを抱えた当事者の地域活動拠点です。社会福祉法人浦河べてるの家、有限会社福祉ショップべてるなどの活動があり、総体として、べてると呼ばれているそうです。
生活共同体、働く場としての共同体、ケアの共同体という三つの性格を持ち、100名以上の当事者が地域にいらっしゃるとのことでした。
第7回受賞の特定非営利活動法人自立支援事業所ベトサダは、路上生活者の自立を支援する活動として、炊き出し、声かけ、機関誌の配布のほか、そのような活動や、警察等からの紹介により、支援を求めてきた路上生活者に対して、住居や食事を提供して、就職して自立する基盤を整える支援をしておられます。