札幌弁護士会人権賞10周年記念交流会
日時:2014(平成26年)年2月24日(月)
場所:東京ドームホテル札幌 ピアリッジホール
ここからは、皆さんの団体が共通に抱えていると思われるいくつかの課題について、意見交換を進めたいと思います。
まずは、自分たちのメッセージを広く社会に伝えるための活動、すなわち啓発・啓蒙活動のあり方について考えたいと思います。これについては、札幌弁護士会が、『中高生のための憲法講座』というイベントを企画していますので、その目指すものや工夫点などについてお話いただけますか。
○作間氏(札幌弁護士会副会長)中高生のための憲法講座は、私たちが大事だと思う価値や考え方をどのようにして子どもたちに理解してもらい、その子どもが大きくなったときに、世の中を変えてもらえるかという遠大な計画のもとに取り組んでいるものです。子どもたちとの議論を通じて、「世の中には多様な考えがあるけれど、それがそれぞれ尊重される社会」のあり方について、考えを深めてもらいたいと思っています。
○司会はまなすの里の方から、今の流れで何かお話いただけますか。
○平中氏(はまなす)私たちは、中、高校生を夏休み、青森の療養所に連れて行っているわけですけれども、学校の先生方を対象とする研修も2年前から始めました。今年度、道内4カ所で、札幌弁護士会と道と私たち、三者で教育セミナーを実施しました。
そのときにアンケートをとったのですが、学校の先生方から、弁護士さんがうちの学校に来てくれることがわかったという声がありました。弁護士会の人権賞を受けたというつながりもあるので、弁護士会と私たちいろいろな団体が一緒に何か活動できることを、特に中、高校生、若い世代に対して訴えるものを何か、つくっていく機会を考えられたらいいのではないかなと思っております。
全道の小、中、高校を合わせると、約2,000校近い学校がありますが、私たちだけで授業するのは不可能なので、できるだけ学校の先生方を協力者に巻き込むことを考えていったほうがいいと思います。先生方が私たちの活動を知ってくれれば、日ごろの授業の中で、何らかの形で、これはハンセン病のことだけではなくて、いじめのことから、人権問題など、いろいろなことに授業を展開する切り口があるのではないかと考えています。
○司会そのほか、「広げる」ための試みとして、お話いただける方はいらっしゃいますか。
○山崎氏(おん)私たちが講義するメンバーの平均年齢は60歳と高齢であるため、今、どこかから助成金を得て、ボランティア活動に協力してくれる若い学生たちを巻き込んで研修し、中学校や高校に出かけてもらって、デートDVの話をしてもらうことを計画しています。
○司会助成金という話が出ましたが、遠友塾さんのアンケートには、人権賞の受賞をきっかけに、次々と大きな助成金が得られたと書かれていますが、活動資金を得るために、人権賞をどのように活用されたのかお話いただけますか。
○工藤氏(遠友塾)人権賞を頂いたことがきっかけで、急に色々な団体から協賛金が入ってくるようになりました。また、大学やロータリークラブなどといった様々なところからも話を聞きたいという依頼が相次ぎました。
○司会次に、インターネットやFacebook(フェイスブック)といった最近のメディアの利用について少し意見交換をしたいと思いますが、まずはエスニコさんにお話いただけますか。
○芦田氏(エスニコ)人権賞をいただいた時に副賞でパソコンを購入し、それでFacebook(フェイスブック)を始めました。インターネットやメーリングリスト、Facebook(フェイスブック)といったITを利用した活動は非常に効果があると思います。
○岸澤氏(エスニコ)Facebook(フェイスブック)は私が担当しているのですが、主にイベントの案内や記録に使っていて、見てくれている人がそれなりにいますので、時間を見つけて情報をアップしています。
○司会メディアの活用という観点から、三角山放送局の方にお話をお聞きしたいと思います。
○杉澤氏(三角山)この人権賞の各受賞団体のお名前を拝見したときから、ぜひ番組で皆さんの活動を広く紹介したいと考えていました。
テレビやラジオ、インターネット等のメディアについては、どのようなターゲットに何を伝えるかによって使い分けることが大切です。私たちは、地域メディア、地域放送、地域団体として活動していますので、インターネット放送は、微弱電波エリアを補完するものという意識でやっています。また、ラジオは紙媒体と非常に相性がよいということから、私たちは、紙媒体にも力を入れています。4カ月に1回3万部、24ページの冊子を発行して西区内の全小学校に配布し、さらに西区内の連合町内会全てに回覧という形で配っています。
○間宮氏(虐待防止)子ども虐待の問題は、社会的孤立の中にある貧困世帯が相当占めているのですが、社会的に孤立した人たちに対して、どのようにメッセージを届けるのがよいのでしょうか。Facebook(フェイスブック)だったら届くのか、ラジオだったら届かないのか、そのあたりについて教えていただけますか。
○杉澤氏(三角山)札幌市は広報さっぽろを全戸配布しています。私たちも本当は冊子のポスティングもしたいのですが、そこまではできていません。その意味で、万人に降り注ぐ電波、すなわち、受信機さえあれば間違いなく届くラジオが本当は重要だと思っています。
○司会札幌弁護士会の広報の取り組みについて、簡単に報告いただけますか。
○坂口氏(札幌弁護士会広報室室長)弁護士会としても、社会に伝えたいことをどのように発信していくかということについては様々な悩みを持ち、これまでも試行錯誤を繰り返してきました。その中で、本年度、広報室という組織を立ち上げ、弁護士会が取り組んでいることをどのように市民の方々に伝えていくかということについて検討を進めています。その一環として人権賞を受賞された皆さんとも連携をし、弁護士会の広報室を通じてしっかり発信をさせていただきたいと考えています。
○司会最後に、今後の人権賞のあり方や広報の方法等について、ご意見やご提案を伺いたいと思います。
○工藤氏(遠友塾)昨年、札幌の遠友塾が社会貢献支援財団の表彰を受けたのですが、私たちは、そのような賞があるということすら知りませんでした。東京の事務局の人が北海道新聞の記事を見て、推薦してくださったそうです。表彰後、「どこか推薦したいボランティア団体がありますか」という書面が送られてきました。このように、受賞した団体が推薦をするということは一つの方法だと思います。チラシの配布は、助けを必要とする人たちが行きそうなところに、少しでも目に触れるような形で置くことが大切です。
○司会そろそろ時間が終わりに近づいて参りましたが、今日が終わりではなく、まさにこれがスタートです。今後は、ぜひ様々な形でお互いが連携し、活動の幅を広げていくことができればと思います。皆さま、本日はありがとうございました。