クーリング・オフ

札幌弁護士会 消費者保護委員会
質問

この間、自宅に突然セールスマンが訪れてきて、20冊もある書籍セットを買わないかとしつこく勧められたので、断り切れないまま契約をしました。
でも、よく考えたらそんな書籍はいらないので、契約をなかったことにしたいのですが。

クーリング・オフが認められれば、契約をなかったことにすることができます。

『クーリング・オフ』って、何ですか?

質問

クーリング・オフとは、消費者が思いがけず契約を申し込んでしまったり、契約を結んでしまったとき、「頭を冷やして考える期間」として、消費者が一方的に解除通知をするだけで、無条件で解除できる(最初から契約をなかったことにする)制度です。

クーリング・オフは、どんな場合にできるのでしょうか?

クーリング・オフが使えるのは、典型的には以下のような場合です。

  1. 自宅を訪れたセールスマンに勧められたり、キャッチ・セールスを受けて購入した場合(訪問販売)
  2. 電話で勧誘を受けて購入した場合(電話勧誘販売)
  3. エステティックサロンや外国語会話教室など、継続的に一定のサービスを受ける契約をした場合(特定継続的役務(えきむ)提供)
  4. 仕事で収入が得られることを誘い文句に、その仕事に必要だとして商品などを購入する場合(業務提携誘引販売取引)
    (例)パソコンを購入すれば、在宅での入力業務を提供すると勧誘して、パソコンを販売する場合
  5. 会員になると商品が安く購入でき、新たに会員を入会させればマージンがもらえると勧められて商品を購入するというような、いわゆるマルチ商法の場合(連鎖販売取引)

他にもクーリング・オフの対象となっているものがありますので、弁護士に相談してください。

クーリング・オフは、どのようにすればいいのですか?

クーリング・オフは、書面で行うことが必要です。後で、期間内に発信したことの証明が必要になるので、書面を郵送する前に、コピーをとって保管しておいて下さい。

書面は、葉書でも構いません。発信したことを証明する方法として、簡易書留や内容証明郵便という方法があります。

具体的な内容としては、「○○年○月○日の××の売買契約(又は××契約など)をクーリング・オフとして解除(又は撤回)します。よって、支払った○○円を返還してください。また、受け取った商品は引き取って下さい。」といった、契約を解除するという内容と、書面を作成した日付、そして自分の住所と名前を書いた書面を、業者に送れば良いのです。

業者には、電話で、「解約したい。」と伝えたのですが、クーリング・オフにはなりませんか?

口頭の場合でも、クーリング・オフをしたという証拠が他にあれば、クーリング・オフとして認められる可能性はあります。

しかし、後に争いになる可能性が高いので、やはり書面で通知すべきです。

1ヶ月前に契約をしたのですが、クーリング・オフはできますか?

契約の際にきちんとした書面を受け取っていれば、原則として、書面を受け取った日を含めて一定の期間内(「8日以内」という期間が多いですが、契約の種類によってはそれ以上の期間のものもあります)に書面で発信しなければなりません。

ただし、そもそも書面を受け取っていなかったり、受け取っていても重大な不備のあるものだったり、嘘っぽいものであるときには、この期間は進みません。このようなときには、期間経過後であっても、クーリング・オフが認められる可能性があります。

きちんとした書面かどうか、どのように見分ければよいのですか?

取引によって必要な記載事項は異なるので、弁護士に相談して判断してもらうと良いでしょう。

契約の時に代金を払って、商品も受け取っているのですが、代金は返してもらえるのでしょうか?

クーリング・オフをすれば、その契約は初めからなかったものとして扱われます。従って、消費者が払ったお金は全額返してもらうことができますし、購入した商品は業者に返すことになります。そのとき、代金の返還費用(振込費用など)や商品引き取り費用(商品送付費用など)は、全て業者が負担します。あなたが、代金を取りに行ったり、商品を届けに行く必要はありません。

1週間前に、訪問に来た業者に勧められて、自宅に換気扇の改修工事をしてもらいました。クーリング・オフをしたいのですが、工事をした部分についてはどうなるのですか?

既に工事が始まっていたり、工事が完了していても、クーリング・オフ期間内であれば、業者に対して、業者の費用で、元の状態、つまり工事前の状態に戻してもらうよう請求することができます。

また、今までにかかった工事費用については請求されません。

クーリング・オフしたら、業者が「損害を受けたから賠償しろ。」と請求してきました。払う必要はありますか?

払う必要はありません。

クーリング・オフは、消費者が一切の負担をすることなく無条件で解約できる権利ですので、クーリング・オフをしたことで違約金や損害賠償を請求することは認められません。

なおも業者が請求してくる場合は、弁護士に相談してください。

私は、小さなお店を経営している個人事業主なのですが、クーリング・オフはできるのでしょうか?

クーリング・オフは、消費者としての個人の保護のためではありますが、個人事業主の場合でもクーリング・オフができる場合があると考えられています。

あなたの場合も、クーリング・オフが認められる可能性はありますので、詳細については、弁護士に相談してください。

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