高齢者の消費者被害

札幌弁護士会 消費者保護委員会
質問

久しぶりに実家に帰省すると、台所には浄水器が2台、寝室には使用していない布団セットが3つも積んでありました。一人暮らしの母(80歳)に尋ねると、電話や訪問販売などで勧誘され、よくわからないままに買ってしまったようです。

しかし買ったときの状況は、いくら聞いても「わからない」と言うだけです。高額のクレジット契約を組んでおり、年金生活では支払いも大変なので困っています。これらの契約を解約できないでしょうか?

質問

確かに、一人暮らしの家に浄水器は2台も必要ありませんし、布団セットもそんなにいりませんね。もし契約したばかりなら、クーリング・オフできます。

また、ずっと前に契約したものでも、必要な書類を受け取っていないなど、場合によってはクーリング・オフできることがあります。詳しくは、「クーリング・オフ」のページを見てください。

わからないことがあれば、弁護士にご相談ください。

クーリング・オフができなければ、支払うしかないのでしょうか?

販売方法に問題があれば、消費者を保護する法律で売買契約を取り消したり、解約したりできる場合がありますし、クレジット会社の支払いも止められる場合があります。

あるいは、もし、お母さんの判断能力に認知症などの問題があれば、そもそも契約として有効に成立していない可能性もあります。

買ったときの状況を考えて、弁護士とよく相談してください。

母は非常にしっかりした人だったのに、まさかこんな契約に引っかかるとは思いませんでした。安易に契約した方も悪かったのではないでしょうか?

そんな風に考えないでください。

誰でも高齢になれば判断能力が衰えるものですし、一人暮らしであれば、非常に心細いので、断り切れずに契約してしまうこともあります。

そのためにも、ご家族のあなたや、友人・知人の方々が頻繁に顔を出して、見守ってあげることが重要なのです。

しかし、母はこんな契約をして恥ずかしいのか、いつ、何を買ったのかも、きちんと話しません。さんざん問い詰めたのですが、なかなか本当のことを話さず、他にも契約があることを隠しているようです。これでは弁護士さんにも相談できません。

無理に聞き出そうとすると、かえって隠してしまうかもしれません。弁護士への相談も、怒られることを心配して辛い気持ちになるでしょう。

また、自分が被害に遭ったとは考えたくないプライドがあるかもしれません。

お母さんが、「こんな契約をして恥ずかしい」と困っているのであれば、これ以上困らないように、追い詰めないように、優しく気を配ってあげてください。

まずは、お母さん自身が、怖がらずに弁護士の所へ行って、解決策を相談してみようという気持ちになってくれることが大事なのです。

母が、二度とこのような契約をしないように、今後の契約を差し止める手段はありませんか?

認知症など、お母さんの判断能力に重大な問題があるのであれば、成年後見制度というものがあります。これを利用すれば、今後、お母さんは、契約をしようとする際に制限を受けることになります。お母さんの状況を見て本当に必要ならば、成年後見制度についても弁護士に相談してみてください。

しかし、まずは今、お母さんが困っている契約を、一緒に解決してあげませんか?

そして、高齢者が悪質な業者にだまされないようにするには、身内の方々が常に注意深く見守ってあげるということが何よりも大切だ、ということを忘れないでください。

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