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声明・意見書2009年度

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消費者庁長官・消費者委員会の人事に関する会長声明

  1. 本年5月29日、消費者庁設置関連三法が成立し、消費者庁の設置が実現されることとなったが、これまでの産業育成型の行政から、消費者・生活者のための行政に大きな転換をはかるものとなる今回の法整備については、当会としても大いに歓迎するところであり、消費者の利益を重視する政策の実現に期待 するものである。
    そこで重要になるのが、消費者庁長官並びに消費者委員会の委員長及び委員の人事である。これらのポストには、消費者庁設置の経緯・趣旨を理解し、あるべき消費者行政のビジョンを持っている人、そしてなにより、消費者問題に携わった経験が豊富であってこれに精通し、消費者の目線を持った人が選任されることが期待される。また、そうでなければ、せっかくの消費者庁・消費者委員会設置による消費者重視の政策の実現は、画餅に帰する結果になりかねない。
  2. 先般なされた報道によると、政府は、消費者庁の初代長官には前内閣府事務次官の内田俊一氏を、消費者委員会の初代委員長には弁護士の住田裕子氏をそれぞれ充てる方針のようである。
    しかしながら、この両氏が、消費者の目線に立って消費者問題に関わってきたかという点に鑑みて適任であるとは認めがたい。
    また、そもそも消費者庁及び消費者委員会設置法は、消費者委員会の委員長 を、委員の互選により選任すると定めている(同法12条)。にもかかわらず、報道によれば、すでに委員長人事は政府主導で路線が敷かれていることになるのであり、これが事実とすれば、消費者庁をはじめ各行政機関に対する監視役としての役割が期待される消費者委員会への不当な介入となりかねない。
  3. そこで、当会は、政府に対し、以下の点を強く求める。

(1) 消費者庁長官及び消費者委員会の委員には消費者問題に関する経験が豊富で、消費者の目線を持った人を選任すること。

(2) 消費者委員会の委員の選任基準を明確にするとともに、任命理由について十分に説明責任を果たすこと。

(3) 消費者委員会の委員長は委員の自由な意思に基づく互選により選任されるようにするため、住田氏が委員長となることが既定路線であるかのような政府内での決定はすべて撤回し、人選を白紙の状態にもどすこと。

(4) すでに消費者委員会の委員候補者によって構成される参与会が開催されているが、参与会の審議はすべて公開して一般傍聴を認めるとともに、議事録を公表すること。

2009年7月27日
札幌弁護士会 会長  高崎 暢

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