日本弁護士連合会
会 長 宮﨑 誠 殿
2010年1月28日
札幌弁護士会 会長 高崎 暢
外国法事務弁護士が社員となる法人における懲戒制度等のあり方についての当会の意見は,以下のとおりである。
第1 趣旨
- 新たに外国法事務弁護士が社員となる法人(外弁法人)制度を導入するにあたっての,外弁法人に対する懲戒制度については,懲戒権を,所属弁護士会(第一次的)と日弁連(補充的)が持つとするなど,弁護士法人及び弁護士の制度と同様とすべきである。
- 既存の外国法事務弁護士に対する懲戒制度を弁護士のものと同様とすべきである。
- 既存の外国法事務弁護士に対する登録審査手続きも弁護士のものと同様とすべきである。
第2 理由
- 懲戒制度のあるべき姿としては,弁護士会が第一次的懲戒権を持つ懲戒制度が基本であり,外弁の現在の懲戒制度は例外であるから,弁護士懲戒の制度に合わせるべきである。
さらに,弁護士自治という視点からも,懲戒制度の例外を認めるべきではない。
- 外弁法人について,弁護士法人及び弁護士の制度と同様とすべきであると考える以上,外弁法人の構成員である外国法事務弁護士に対する懲戒制度も改正して同様とすべきである。
また,弁護士会の外国法事務弁護士に対する指導監督権を十分なものとするためにも,所属弁護士会に懲戒権を認めるべきである。
- 弁護士と外国法事務弁護士の両方が社員である,いわゆるB法人は,一人の外国法事務弁護士と多数の弁護士で構成されるものから全く逆に多数の外国法事務弁護士と一人の弁護士で構成されるものまで様々な構成があり得る。また,法人における弁護士及び外国法事務弁護士の実質的な地位も,アソシエートに近いものから主要な立場にあるものまで様々なバリエーションが考えられ,結局,外国法事務弁護士だけが社員である,いわゆるA法人に近いものから限りなく弁護士法人に近いものまでがあることが予想される。
そうだとすると,弁護士の懲戒制度と外国法事務弁護士の懲戒制度が別個の手続きであることを前提にB法人を弁護士懲戒制度又は外国法事務弁護士懲戒制度のいずれかに従わせることは,現実的に妥当でない場合が生じることは避けられないと考える。
- 懲戒権限と登録審査権限とはともに弁護士自治の根幹をなし,かつ一体の関係にあるから,弁護士会に懲戒権限を付与しながら登録審査権限を付与しないのは不完全である。
また,弁護士会に登録する以上,弁護士会が登録審査権限を有するべきである。
- 結局,外弁法人の設置を認める方向になるのであれば,それを機に,弁護士懲戒制度と外国法事務弁護士懲戒制度の2本立ての制度自体を見直すことが妥当である。
以 上