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声明・意見書2012年度

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「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」の制定に反対する会長声明

政府は、2012年2月14日、今国会に、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」案、いわゆる社会保障・税共通番号法(マイナンバー法)案を提出した。

本法案は、全国民、在留外国人及び法人に識別番号を付し、現在、行政のデータベースに別々に管理されている情報(住民基本台帳情報、納税情報、健康保険情報、年金情報等)を同一人の情報として連結可能とする社会保障・税共通番号制度を創設し、同制度を基礎とする情報提供ネットワークシステムの導入を予定している。この共通番号制度の主たる目的は行政運営の効率化にあり、あわせて国民の給付と負担の公平性・明確性を確保し、事務手続の簡素化により国民の利便性の更なる向上を図ろうとするものである。

しかし、共通番号制度が対象とする情報は、氏名、住所、生年月日、性別といった基本情報に加え、年金、医療、福祉、税務等のセンシティブ情報や、財産情報を含む私生活全般にわたる広範な個人情報であり、同制度は、それらを収集・連結することで、個人に割り当てられた共通番号によって広範な個人情報の検索を可能とする。

したがって、共通番号は、多様な個人情報へのアクセス手段となりえ、とりわけ、病院や金融機関等民間の分野において共通番号が本人特定の手段として広範に利用されることになれば、個人情報が漏洩し、不正アクセスや本人になりすまして犯罪を行う等悪用される事案が多発することが懸念される。

さらに、収集・蓄積された個人の情報が、次々と番号で特定され、連結されていくことで、その人物の行動全般を把握し、分析することが可能となる。

このような事態が生ずれば、国民の基本的人権であるプライバシー権(自己情報コントロール権 憲法第13条)が侵害され、個人の自由な行動を萎縮させるばかりか、共通番号制度に取り込まれる情報や制度の運用如何によっては、国家による国民監視・統制の手段として濫用される危険性がある。

以上のとおり、本法案は、国民のプライバシー権を軽視し、情報の漏洩や目的外利用等の危険性を看過するものであって、到底容認することは出来ない。

よって、当会は、本法の制定に断固として反対する。

2012年(平成24年)5月28日
札幌弁護士会 会長  長田 正寛

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