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声明・意見書2012年度

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2012年司法試験の最終合格者数に関する会長声明

本年9月11日、2012年司法試験の最終合格者数が2,102人であると発表された。

2002年3月19日、政府は、司法制度改革審議会の、「法曹に対する需要は、量的に増大するとともに、質的にも一層多様化・高度化していく」等とする意見を踏まえて、2010年ころには、司法試験の合格者数を年間3,000人程度とすることを目指す旨、閣議決定した。
その結果、司法試験合格者数は、2004年には1,500人を、2007年には2,000人を、それぞれ超え、急激に増加した。

しかしながら、司法制度改革審議会が法曹人口を増加させることの根拠とした「法曹に対する需要」は、予想どおりには伸びていない。全裁判所における民事・行政事件の新受件数は減少し、公的機関、国際機関、非営利法人、民間企業、労働組合などからの需要も低迷しており、とりわけ弁護士の活動領域は思うように拡大していない。
さらに、司法試験合格者数は増加したものの、裁判官、検察官の採用人数はほとんど増加せず、「法曹人口の増加」は「弁護士人口のみの増加」となってしまった。ちなみに、2011年の司法修習終了者2,152人のうち、裁判官となった者は102人、検察官となった者は71人、弁護士となった者は1,515人、その他464人であったところ、10年前の2001年司法修習終了者975人のうち裁判官となった者は112人、検察官になった者は76人、弁護士になった者は774人、その他13人であった。
その結果、2002年4月において18,851人であった弁護士数は、2012年4月現在、32,134人までに増大した。

法曹に対する需要が伸びず、司法制度基盤が整備・強化されないうちに、あまりにも急激に法曹人口の増加を図った結果、現在、司法修習生の就職難、弁護士としてのOJT不足など様々な「ひずみ」が生じている。
このような危機的状況に鑑み、当会は、昨年11月29日に開催した臨時総会において、政府に対して「年間1,000人程度を目標に司法試験合格者数を段階的に減少させ、その実施状況等を検証しつつ、さらに適正な合格者数を検討すること」を求める旨決議した。
また、本年4月の総務省の法曹人口の拡大に関する政策評価は、「3,000人の合格目標の未達成について国民への大きな支障は認められない。一方現在の2,000人の規模の増員を吸収する需要の顕在化はなく、弁護士の供給過多により就職難が発生し、OJT不足による質の低下が懸念される」とするものであった。

しかるに、本年の司法試験合格者数2,102人は、これまでの急増ペースを維持するものである。政府が、これまでの司法試験合格者数の増員ペースを維持させたことは、弁護士人口のみの急激な増加と、それに伴う様々な「ひずみ」をさらに拡大させるものであり、極めて遺憾である。
よって、当会は、政府に対して、直ちに年間1,000人程度を目標に司法試験合格者数を段階的に減少させることを求めるものである。

2012年(平成24年)10月1日
札幌弁護士会 会長  長田 正寛

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