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2月21日、東京拘置所、名古屋拘置所、大阪拘置所において、それぞれ1名、合計3名に対する死刑の執行が行われた。
自民党政権の復活後時をおかず、かつ、3名の死刑確定者に対する執行であり、極めて遺憾である。
日本弁護士連合会は、本年2月12日、谷垣禎一法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要望書」を提出し、死刑制度に関する当面の検討課題について国民的議論を行うための有識者会議を設置し、死刑制度とその運用に関する情報を広く公開し、死刑制度に関する世界の情勢について調査のうえ、調査結果と議論に基づき、今後の死刑制度の在り方について結論を出すこと、そのような議論が尽くされるまでの間、すべての死刑の執行を停止すること等を求めた。その直後、この要請を無視してなされた死刑執行を、到底容認することはできない。
これまでも、日本政府は、国連等の関係機関から繰り返し、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるよう勧告を受けてきたところ、昨年12月20日には、国連総会において、すべての死刑存続国に対し、死刑廃止を視野に執行を停止するよう求める決議が、過去最多の111カ国の賛成多数で採択された。もはや、死刑廃止は国際的趨勢であり、このような世界的な状況のもとで、死刑制度全般に関する全社会的議論を踏まえた十分な検証をせずに、死刑の執行を繰り返す日本の姿勢は際立っていると言わざるを得ない。
とりわけ、今回執行された3名のうち2名は、自ら控訴を取り下げたことにより死刑が確定しており、国連条約機関等から繰り返し求められている必要的上訴の要請を充たしていない。また、他の1名は、第一審の無期懲役判決が検察官の控訴によって覆され、審理に携わった職業裁判官の間でも量刑判断が分かれた事案であり、かつ、現在、再審請求の準備中であったとの情報もある。谷垣法務大臣は、死刑制度の運用に当たっては「十分慎重に考える」旨表明してきたが、就任してから僅か2ヶ月足らずで、上記問題について真に慎重な検討がなされたかについて大いに疑問がある。
当会は、今回の死刑執行に対し、強く抗議するとともに、政府に対し、死刑制度全般に関する情報を広く国民に公開することを要請し、死刑執行を停止し、法務省に有識者会議を設置する等の方策をとることにより、死刑制度の廃止について全社会的な議論を直ちに開始することを重ねて強く求める。
2013年(平成25年)3月1日
札幌弁護士会 会長 長田 正寛
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