子どもの親権

札幌弁護士会 性の平等と多様性に関する委員会 著

子どもの親権

質問

夫が、離婚には応じるが、子どもの親権は渡さないと主張しており、子どもを取られてしまうのではと不安でたまりません。私が子どもの親権を得て、養育していきたいのですが、どうしたら良いでしょうか。私が今無職であることは不利になりますか。

質問

あなたがお子さんを養育している限りは、親権を夫にとられることを、それほど心配しなくても大丈夫です。あなたが無職であることは、親権者の判断にとって大きなマイナスではありません。

■親権の意味
離婚の際に、父母のどちらが親権者になるかについてよく争いになります。親権がなければ親ではなくなるように思う人も多いようですが、親権者でなくともその子どもの親であることに変わりはありません。親権とは、子どもが一人前の社会人となるまで養育するために、子どもを監護教育し、子どもの財産を管理することを内容とする親の権利義務のことで、権利というより義務の色彩が強いものです。具体的には、子どもの住むところを決めたり、子どもを代理して契約したり、子どもの就職を許可したりといった法律上の定めですので、このようなことが出来なくとも親であることに変わりはなく、戸籍にも親であることは書かれたままです。このようなことを夫に話しておくことも良いかもしれません。

■親権判断の要素
一般的には、子どもの年齢、過去の養育の実績や養育環境、別居後どちらが養育しているか、養育に至った経緯(連れ去りの有無や状況)、経済的なことも含めた監護能力、面会交流が行われる見通しの有無などが考慮要素とされています。子どもが15歳以上であれば、その意見を聞くことになりますし、小学校高学年以上であれば、子どもの意向も考慮要素として重視されることがあります。

■経済的な要素の位置づけ
現在無職であっても将来仕事に就こうと考えていたり、児童扶養手当や生活保護などの援助を受けて子育てが可能な経済力を持てる場合には、経済的な監護能力は、あまり問題になりません。

■あなたの場合
現在無職ということですが、前にお話ししたとおり、今後仕事をしようと考えていたり、経済的援助を受ける見通しがあれば、親権者を決めるにあたって大きなマイナスになると考えなくてもよいでしょう。

相談時に持参すると良いもの

  1. 戸籍謄本
  2. 住民票
  3. 母子手帳
  4. 保育園・幼稚園の連絡手帳
  5. 給与明細など所得が分かるもの

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