離婚と年金の分割
法律で離婚時の年金分割が認められるようになったという報道を見ましたが、どのような場合に、いくらぐらい認められるのでしょうか。
厚生年金または共済年金に加入している場合に分割が認められますが、いくらぐらいというのは一概には言えません。
■年金の仕組み
公的年金は、次の国民年金、厚生年金及び共済年金などから成り立っています。
- 国民年金 基礎年金としてすべての国民が加入する年金(1階部分)
- 厚生年金 民間企業の被用者が加入している年金(2階部分)
- 共済年金 国家公務員、地方公務員及び私立学校教職員が加入している共済年金(2階部分)
■どのような場合に分割が認められるか
離婚時に厚生年金または共済年金についてのみ分割を求めることができます。そのため、国民年金だけしか加入していない場合には年金分割は求められません。
■いくらぐらいになるか
年金分割とは、現在や将来支給される年金そのものが分割されるのではなく、年金額算定の基準となる金額(対象期間標準報酬総額)が変わるものでありますので、年金受給額そのものについては一概には言えません。
そこで、まずは、社会保険事務所等に情報請求を求める際、あなたが50歳以上であれば、年金見込額の開示を併せて求めることが可能です。この年金見込額の資料により、年金分割によりどのくらいの年金受給額になるかの概算額がわかります。
■年金分割の方法
年金分割の方法としては、夫婦の合意により按分割合の取り決めを行う合意分割と3号分割という方法があります。
このうち、合意分割については、家庭裁判所での調停、審判及び離婚訴訟における和解で行うことができますが、家庭裁判所を利用しなくとも合意は可能です。
3号分割とは、合意等がなくとも、一定の場合には、請求により分割ができるという制度です。
■いつまでできるか
年金分割を請求できる期間は、離婚時から2年間となっていますので注意してください。